W3C勧告

W3C勧告とは

W3C勧告（World Wide Web Consortium Recommendation）は、World Wide Web Consortium (W3C) が定めるWeb技術の標準規格です。W3C勧告は、W3Cのワーキンググループにおける厳格な批准プロセスの最終段階であり、W3Cメンバー組織および一般社会による広範なレビューを経ています。これは、Web技術の相互運用性を確保し、開発者と利用者が共通の基盤の上でWebを構築・利用できるようにすることを目的としています。W3C勧告は、他の業界における公式な工業規格と同等の信頼性と権威を持つものと見なされています。

標準化過程

W3CのProcess Documentによれば、W3C勧告に至るまでには、以下のような複数の成熟段階を経る必要があります。

作業草稿 (Working Draft, WD)

作業草稿は、規格策定の最初の段階であり、コミュニティでのレビューに供されます。この段階では、規格は公衆に公開され、誰でもコメントを提出できます。ただし、提出されたコメントがどのように扱われるかは、内容によって異なります。作業草稿は、多くの場合、最終的な規格とは大きく異なるため、この段階で実装を行う場合は、その後の修正による大きな変更を覚悟する必要があります。

勧告候補 (Candidate Recommendation, CR)

勧告候補は、作業草稿よりも安定した段階です。この段階では、規格策定を担当するグループは、規格が必要な機能を備えていると判断します。勧告候補の主な目的は、開発コミュニティからの実装に関する協力を得ることです。規格文書はその後も修正される可能性がありますが、重要な部分は変更されないことが多く、実装者からのフィードバックによって設計が調整されることもあります。

勧告案 (Proposed Recommendation, PR)

勧告案は、作業草稿と勧告候補の段階を経て、さらに成熟した段階です。この段階では、規格のユーザーや実装者は、意見を表明する機会が与えられます。勧告案は、W3C諮問委員会による最終承認を受けるために提出されます。この段階は非常に重要であり、この段階を通過した後で大きな変更が加えられることは稀です。

W3C勧告

W3C勧告は、規格策定の最終段階です。この段階に至るまでに、規格は理論面と実用面の両方で広範なレビューとテストを受け、W3Cによって承認されます。W3C勧告として公開された規格は、Web技術の標準として広く採用され、関連分野での開発が促進されます。

その後の改版

W3C勧告は、その後の技術進歩や新たな要件に応じて改版されることがあります。改版は、まず正誤表として公開され、修正が蓄積された段階で、正式な改版が行われます。たとえば、XMLは既に第5版まで改版されています。W3Cは、規格以外にも、様々なノートも公開しています。

勧告の廃止

W3C勧告の一部または全部が、時代に合わなくなった場合、勧告解除の提案が出されます。この提案が承認されると、その文書はW3C勧告ではなくなります。ただし、RFCのように完全に破棄されるのではなく、W3C勧告ではなくなるという扱いになります。

参考情報

W3C ホームページ: https://www.w3.org/
W3C Technical Reports and Publications: https://www.w3.org/TR/
* W3C Process Document: https://www.w3.org/Consortium/Process/

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