W93 (核弾頭)

W93とイギリスの後継核弾頭A21の概要

サンディア国立研究所とロスアラモス国立研究所が共同で開発しているW93は、アメリカ合衆国の核抑止力を支える新しい海軍用核弾頭です。この弾頭は、UGM-133AトライデントII潜水艦発射弾道ミサイルに搭載されることになっています。W93は、現行のW76-1/2およびW88弾頭の老朽化に伴う安全上のリスクを軽減することを目指しています。具体的には、W93はこれらの旧型弾頭とほぼ1対1の比率で置き換えられ、核兵器の総数が増加することはないとされています。

W93の開発背景とスケジュール

W93は、2019年7月に“Next Navy Warhead”として確認され、その後2021年度の予算要求において5300万ドルの開発資金が要求されました。実際の開発は2021年に開始され、2023年には初期の設計段階が終わる予定です。2030年代中盤には第1生産ユニットを製造し、2040年までに運用が開始される見込みです。W93の開発は、冷戦以降初めて完全に新しい核兵器の配備となるため、これまでの核兵器開発の中断状態を打破する重要な意味があります。

設計と性能

W93の設計はまだ多くの詳細が公表されていないものの、最新技術を取り入れた安全性とセキュリティ向上が求められています。軽量化と射程の向上が図られるため、戦略原潜をより安全な状況で運用できるようになります。また、W93はW76よりも高い威力を持つと推測され、その背景には米戦略軍のリスク評価があります。特に、運用中のオハイオ級潜水艦に対する新型コロンビア級の配備計画が影響していると考えられています。

イギリスの後継弾頭A21との関連性

イギリスでは、W93の開発と並行してA21/Mk7（Astraea）という後継核弾頭の開発が進められています。W93とA21は同じ再突入体を共有し、設計面でも多くの共通点があります。イギリス防省の事務次官は、両国の核弾頭開発が密接に関連していることを認めています。アメリカ側もW93の開発がイギリスとの長年の防衛協力を維持するために重要であると指摘しており、このプロジェクトにイギリスがオブザーバー参加していることも確認されています。

結論

W93とA21の開発は、現代の戦略環境に適応した新しい核抑止力を構築するための重要な一歩です。これにより、アメリカとイギリスは共に効果的な安全保障体制を維持し、将来の脅威に備えることを目指しています。この新しい核弾頭は、両国の防衛戦略において重要な役割を果たすことでしょう。

もう一度検索