WORLD OF FANTASY

capsuleの12枚目のオリジナルアルバム『WORLD OF FANTASY』は、2011年5月25日にヤマハミュージックコミュニケーションズからリリースされました。このアルバムは、当初『KILLER WAVE』というタイトルで同年3月23日に発売される予定でしたが、東日本大震災の影響で発売が延期され、タイトルも変更されました。しかし、一部には改題前のタイトルで流通したものが存在し、中古市場などで稀に入手可能です。

このアルバムの制作にあたり、中田ヤスタカはcapsuleの「自分が好きな音楽をやっていく」というコンセプトをより純粋に追求したと語っています。短期間で集中して制作された本作は、中田にとって「スピーカーから出てくる音がカッコよければいい」というcapsule独自のスタイルを確立する上で重要な作品となりました。

アルバムには、タイトルトラックでもある「WORLD OF FANTASY」のミュージックビデオも制作されました。映像は、夜の東京を舞台に、こしじまが運転するランボルギーニ・ガヤルドが時速1,000kmで東京の夜空を駆け抜けるという、浮遊感溢れる映像です。映像監督は谷篤が務め、首都高をロケーションに、疾走感と浮遊感を表現しています。撮影にはソニーのPMW-F3が使用され、カメラの揺れを抑えるための工夫も凝らされました。また、こしじまの運転シーンやリップシンクシーンはスタジオで別途撮影され、合成されています。

楽曲面では、アルバム収録曲は全て128bpmに設定され、歌詞は全て英語で書かれています。iTunes Storeアルバム購入特典として、収録曲をメガミックスした「WORLD OF FANTASY MIX」もリリースされました。アルバムは初回盤と通常盤の2形態でリリースされ、初回盤には収録曲のExtended-mixが収録されたボーナスディスクが付属しました。また、カロッツェリアのサイバーナビや、バンタンデザイン研究所のCMソングにも楽曲が使用されました。

本作はオリコンチャートで週間3位を獲得し、自身の最高位記録を更新しました。2021年11月20日には、アルバムのリマスター版である『WORLD OF FANTASY (2021 Remaster)』が配信限定でリリースされました。このリマスター版は、過去作品をリマスター音源とビジュアライザーと共にYouTubeに公開する「CAPSULE アーカイブコレクション」の一環として制作されました。リマスター版では、音の繋ぎ目が修正されるなどの変更点が加えられ、より洗練されたサウンドに生まれ変わっています。

また、アルバム発売に合わせて、全国クラブツアー『capsule "KILLER WAVE" RELEASE PARTY』が予定されていましたが、東日本大震災の影響で延期となり、『capsule "WORLD OF FANTASY" RELEASE PARTY』に改題されました。このツアーの映像や音源は販売されていません。

アルバム収録曲は、ベストアルバムや音楽ゲームにも収録され、現在も多くのファンに愛されています。特に「I CANT SAY I LIKE YOU (2021 Remaster)」から「PRIME TIME (2021 Remaster)」への繋ぎは、リマスターによって曲間の間隔がなくなり、よりスムーズな流れで聴けるようになっています。

『WORLD OF FANTASY』は、capsuleの音楽性を象徴する重要な作品であり、リマスター版の登場によって、その魅力を改めて発見できます。

もう一度検索