WORLDILLIA

WORLDILLIA：楽園を思わせる、ポルノグラフィティの集大成

2003年2月26日、SME Recordsよりリリースされたポルノグラフィティ4作目のオリジナルアルバム『WORLDILLIA』(ワールディリア)。前作『雲をも摑む民』から約11ヶ月ぶりとなる本作は、2002年のヒットシングル『Mugen』やリードシングル『渦』を含む全14曲を収録した、彼らの音楽性と才能が凝縮された作品と言えるでしょう。

アルバムタイトル『WORLDILLIA』は、「ワールド」と楽園を思わせる響きの言葉「アルカディア」「シャングリラ」を組み合わせた造語で、「世界が小さな一つの楽園」という意味が込められています。このコンセプトは、アルバム全体を彩る楽曲群や、ジャケットデザインにも反映されています。銀色の龍を背景に虹色の絵の具で描かれたアルバムタイトル、裏表紙へと繋がる龍のイラスト、そしてそれまでの左右見開きとは異なる上下見開きを採用した歌詞カードなど、細部にまでこだわり抜かれたクリエイティブな作品となっています。

本作には、後にファンクラブライブのタイトルにもなった『CLUB UNDERWORLD』、女性目線の歌詞が印象的な『デッサン #3』、そしてインストゥルメンタル曲『didgedilli』など、バラエティに富んだ楽曲が収録されています。特に『ヴィンテージ』は、ニューヨークでレコーディングされた楽曲で、リリース直後のテレビ出演でも披露され、後にベストアルバムにも収録されるなど、高い人気を誇る一曲です。『素晴らしき人生かな？』はTamaがトランペットを演奏していることでも知られ、『渦』と共にアルバムを代表する楽曲として、多くのファンを魅了しています。また、シングル『Mugen』『渦』、カップリング曲『Go Steady Go!』『ワールド☆サタデーグラフティ』も収録され、シングル曲の新たな魅力も発見できる構成となっています。

当初は『LIVE ON LIVE』も収録予定でレコーディングも完了していたものの、タイトルに「LIVE」という言葉が含まれていることから、ライブDVDに収録する方が適切との判断から本作への収録は見送られました。この決定からも、制作陣の楽曲への深い愛情と、作品全体の完成度に対するこだわりが見て取れます。

さらに、本作には多くのミュージシャンが参加しており、その豪華な演奏陣も作品の魅力を高めています。飯田高広氏によるシンセサイザー、三沢またろう氏によるパーカッション、NAOTO Stringsによるストリングス、そしてTHE THRILLによるブラスセクションなど、各パートを彩る才能豊かなプレイヤーが、ポルノグラフィティの楽曲に深みと広がりを与えています。

リリース後、多忙のため本作を引っ提げたライブツアーは事実上開催されず、そのため本作に収録されたオリジナル楽曲のライブ披露機会は、他のアルバムと比較して少ないのが現状です。しかし、その希少性ゆえに、ライブで聴くことができたファンにとっては特別な思い出となっていることでしょう。

『WORLDILLIA』は、Tama在籍時の最後のオリジナルアルバムという重要な意味合いも持ち合わせています。彼らの音楽史における一つの区切りであり、同時に、その後の活動へと繋がる重要な作品と言えるでしょう。独特の世界観、多彩な楽曲、そして細部にわたるこだわりが詰まった『WORLDILLIA』は、音楽史に刻まれる名盤として、今後も多くのリスナーを魅了し続けることでしょう。

収録曲

1. CLUB UNDERWORLD
2. 惑星キミ
3. 元素L
4. Mugen
5. デッサン #3
6. ヴィンテージ
7. ワールド☆サタデーグラフティ（★★★）
8. 素晴らしき人生かな？
9. 朱いオレンジ
10. Go Steady Go!
11. カルマの坂
12. didgedilli
13. 渦（Helix Track）
14. くちびるにうた

参加ミュージシャン

Synthesist: 飯田高広
Percussion: 三沢またろう
Strings: NAOTO Strings (#9)
Electric Violin: NAOTO (#12)
Brass Section: THE THRILL (#4)
Clarinet: 谷口英治 (#8)
Drums: 村石雅行 (#4, #5, #11, #13), 小畑"PUMP"隆彦 (#12)
All Other Instruments: 本間昭光

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