WS-15 (エンジン)

中国で開発された航空機用エンジン、渦扇-15（ウォーシャン-15）は、略称WS-15として知られています。このエンジンは、同国の第5世代ジェット戦闘機（ステルス戦闘機）であるJ-20Aに搭載することを主目的として、中国の瀋陽発動機設計研究所（通称606研究所）と西安航空発動機公司によって開発が進められています。本エンジンのコードネームは「峨眉（エメイ）」です。

開発の経緯

WS-15の開発は、1990年代初頭に開始されたとされています。長期にわたる開発期間を経て、2004年には最初の試作機が完成し、関係各所に提供されました。技術開発が進む中で、2009年12月頃にはインターネット上で本エンジンの中心部（エンジンコア）と推測される画像が出回り、その存在が注目を集めました。

地上での各種試験も並行して進められ、2012年にはその実施が確認されています。2015年には最初の地上試験が成功したとの発表がありましたが、同時期に爆発事故が発生したという情報も報じられています。

その後の開発を経て、2023年3月には中国航空発動機集団（AECC）の幹部が、WS-15の連続生産が開始されたと公式に発表しました。航空情報専門のウェブサイトFlightGlobalは、この動きがJ-20戦闘機への搭載に向けた小規模生産と飛行試験の進行を示唆していると推測しています。そして、開発における重要な節目として、2023年6月にはWS-15を搭載したJ-20が初めて飛行に成功したことが確認されました。

性能

WS-15の具体的な性能に関する公式な情報は限定されており、不明な点が多いのが現状です。しかしながら、目標とされる最大推力（アフターバーナー使用時）は180キロニュートン（約40,500ポンド力）級とされています。過去の試験では、2009年のプロトタイプ試験において160キロニュートン（約36,000ポンド力）の推力を達成したという情報も存在します。

公表されているその他の性能に関する数値としては、アフターバーナー未使用時の推力が105キロニュートン、アフターバーナー使用時には180キロニュートン以上を達成するとされています。また、タービン入口温度は1850ケルビンに達し、推力重量比は9.7から10.87の範囲を目指していると考えられています。

主要な仕様

WS-15は、アフターバーナーを備えたターボファンエンジンとしての形式を採用しています。その一般的な物理的特性と構成要素は以下の通りです。

• - 形式: アフターバーナー付きターボファン
• - 全長: 5.05メートル
• - 直径: 1.02メートル
• - 乾燥重量: 詳細不明

構成要素:

• - 圧縮機: 低圧3段、高圧6段からなる軸流圧縮機
• - 燃焼器: アニュラ型
• - タービン: 高圧1段、低圧1段

派生型

WS-15のエンジンコアを基にした派生型も開発されています。その一つがSF-Aです。これは高バイパス型のターボファンエンジンで、民間航空機への搭載を想定しています。

SF-Aは2009年11月3日に開催された中国国際産業フェアのプレショーで初めて一般に公開されました。目標とされる推力は13トン（約127キロニュートン）級です。この派生型は、中国が開発する大型輸送機Y-20や、国産旅客機C919への搭載が計画されているとされています。開発は現在も進行中であり、当初は2016年の完成が予定されていました。また、業界関係筋の情報によれば、SF-Aとは別にSF-Bと呼ばれる派生型も存在する可能性が示唆されています。

これらの派生型の開発は、WS-15の技術を軍用だけでなく民間の航空分野にも応用しようとする中国の取り組みを示しています。

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