WebOSとは？意味をやさしく解説 - サードペディア百科事典

webOSは、2009年にPalmによって開発されたモバイル機器向けのオペレーティングシステムです。LinuxとWebKitを中核とし、スマートフォンやタブレットなどの携帯端末での利用を想定していました。しかし、その歴史は開発元の変遷とともに、複雑な道のりを辿ります。

webOSの誕生とPalmの挑戦

2009年1月、CESで初代webOS搭載機であるPalm Preが発表されました。当時、PalmはTreoの販売不振やFoleoの販売中止など、経営が危機的な状況にありました。そこで、Appleの幹部だったジョン・ルビンスタインを迎え、iPhoneに対抗する製品として開発されたのがPalm Preです。iPhoneを強く意識した設計で、iTunesとの同期やマルチタッチスクリーンをサポートしていました。また、ユニバーサル検索やPalm Synergyなどの革新的な機能も搭載されていました。

マルチタスクとウェブ技術の融合

webOSは、マルチタスク機能を備えており、HTML5、JavaScript、CSSなどのウェブ標準技術によるアプリケーション開発を前提としていました。インターネットとの融合を強く意識した設計が特徴です。開発環境としてwebOS SDK（Palm Mojo SDK）が提供され、アプリケーションストア「App Catalog」も開設されました。また、従来のPalm OS開発者向けには、Palm OS用エミュレーター「Classic」も提供されました。ウェブブラウザはWebKitをベースとし、ストリーミングビデオをサポートしていました。さらに、Adobe SystemsもwebOS用のFlash Playerを提供していました。

HPによる買収と事業の迷走

2011年7月、HPはTouchPadを発売しましたが、その直後の8月にはwebOS事業の閉鎖を発表しました。発売したばかりのTouchPadやPre 3を含む全商品の生産終了が決定されました。しかし、同年9月に就任したメグ・ホイットマンCEOが事業継続に舵を切り、12月にはオープンソース化を発表しました。この迷走は、webOSの将来に暗雲を投げかけました。

LGによる事業取得とスマートTVへの転換

2013年2月、LGがHPからwebOS事業を取得しました。当初、LGはwebOSを主にスマートTVのOSとして利用すると見られており、メディアからはwebOSのモバイルOSとしての事実上の終焉と評されました。2014年には、LGの薄型TVにwebOSが搭載され販売が開始されました。その後、LGはwebOSをスマート冷蔵庫など家電製品にも展開し、その活用範囲を広げています。

オープンソース化と他社への提供

2018年3月、LGはwebOSのオープンソース版を発表し、2021年2月には自社製テレビに搭載しているwebOSを他社にも提供することを発表しました。これにより、webOSはスマートTVや家電製品のOSとして、新たな展開を迎えようとしています。

webOSの名称の変遷

webOSは、その歴史の中で、Palm webOS、HP webOS、Open webOS、LG webOSなど、開発元や時期によって名称が変化しています。この変遷が、webOSの複雑な歴史を物語っています。

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