Women's Wear Daily

Women's Wear Daily (WWD) - ファッション業界の羅針盤

「ファッションのバイブル」とも呼ばれるWomen's Wear Daily（WWD）は、ファッション業界のトレンド、最新ニュース、小売業界の動向を網羅する業界誌です。男性・女性ファッション、美容関連情報を網羅し、小売業者、デザイナー、メーカー、マーケティング担当者、金融機関、メディア幹部など、業界のプロフェッショナルに読まれています。

WWDは、ペンスキー・メディア・コーポレーション傘下のフェアチャイルド・ファッション・メディアの主要出版物です。2015年4月には日刊紙から週刊紙へと移行し、デジタル版を毎日発行する体制に移行。デジタル戦略を強化し、ファッションウィークなど特定のイベント期間のみ印刷版を発行しています。

WWDの歴史

WWDは1910年7月13日、エドマンド・フェアチャイルドによって、紳士服雑誌デイリー・ニュース・レコードから派生して創刊されました。広告主の影響力を背景に、ニューヨークの衣料品業界で確固たる地位を築き、エディス・ローゼンバウム・ラッセルが最初のパリ特派員を務めました。当初、記者はオートクチュールの展示ショーで後列に配置されることもありましたが、1950年代後半には人気雑誌としての地位を確立しました。

ジョン・フェアチャイルドの功績

1960年にWWDの発行人となったジョン・フェアチャイルドは、ファッション関係者との関係構築に注力し、WWDの地位を向上させました。デザイナーと顧客の社交界に焦点を当て、デザイナーをセレブよりも影響力のある存在として確立しようとしました。発行部数を増やすため、時には大胆な手法も採用。報道禁止を破り、写真やスケッチを掲載することも厭いませんでした。彼は記者を変装させてファッションハウスに派遣したり、向かいの建物から新作を観察させたりしました。

フェアチャイルドの指揮下では、確執もまた伝説的でした。彼の意にそぐわないデザイナーの発言や作品に対しては、WWDでの報道を禁止することも。ユベール・ド・ジバンシィ、クリストバル・バレンシアガ、イヴ・サン＝ローランなど、多くのデザイナーがWWDとの間で論争を繰り広げました。しかし、多くのデザイナーは排除されることを恐れ、沈黙を守りました。1988年には、3年間WWDから排除されていたポーリン・トリジェールがニューヨーク・タイムズ・マガジンに全面広告を掲載し、WWDの政策に抗議しました。

コンデナスト時代 (1999-2013)

1999年、フェアチャイルド・パブリケーションズはウォルト・ディズニー・カンパニーを経て、コンデナスト・パブリケーションズに売却されました。WWDはヴォーグやグラマーなどのコンデナストの消費者向け雑誌とは独立して運営されました。

2010年11月、WWDはニューヨークのチプリアーニで創立100周年を記念し、アルベール・エルバス、ラルフ・ローレン、マーク・ジェイコブスなど、ファッション業界を代表するデザイナーが出席しました。

ペンスキー・メディア・コーポレーション (2014年～現在)

2014年8月19日、コンデナストはWWDをペンスキー・メディア・コーポレーション（PMC）に売却しました。この買収には、フットウェア・ニュース、メンズウェア、Mマガジン、ビューティー・インクなどの姉妹誌、およびフェアチャイルドのイベント事業も含まれていました。

2015年4月12日、WWDはウェブサイトで4月23日から週刊版を開始することを発表。日刊デジタル版も提供を開始しました。同年7月20日には、WWDが「LATimes.com」に掲載され、ロサンゼルス・タイムズなどの購読者向けに年間12回配布されることが発表されました。

WWDは、100年以上にわたり、ファッション業界の動向を伝える重要な情報源としての役割を果たし続けています。デジタル化の進展に対応しながら、その影響力を維持し、業界の発展に貢献していくことが期待されます。

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