Xボンバー

Xボンバー：謎の宇宙戦艦と若き宇宙戦士たちの戦いを描くSF特撮人形劇

1980年10月4日から1981年3月28日まで、フジテレビ系で放送された『Xボンバー』は、永井豪を原作に、じんプロダクションとコスモプロダクションが制作したスーパーマリオラマ（SF特撮人形劇）作品です。全25話の本編に加え、30分のパイロットフィルムも存在し、高いクオリティと独特の世界観で注目を集めました。

企画から制作：マリオネットによるSF世界の実現

企画は、じんプロダクションの池田公雄プロデューサーが永井豪に持ち込み、コスモプロダクションの三上陸男社長に制作が依頼される形でスタートしました。当初は、宇宙盗賊集団と地球防衛組織の戦いを描く侵略ものとして構想されていました。予算削減のためマリオネットによる制作が決定されましたが、アニメテイストを取り入れたリアルな造形の人形や、精巧なミニチュア、セットなど、制作費は当初の見積もりを大幅に上回ったといいます。

コスモプロダクションを中心とした制作体制は、同社の社員や、他社からの移籍者など、経験豊富なスタッフによって支えられました。しかし、マリオネット撮影の経験不足から撮影は遅延し、一ヶ月に3本程度のペースで制作されたようです。スケジュール調整のため、第1話はVTR撮影の特別番組となり、本編の中でも総集編が3話挿入されました。

ストーリー：宇宙の平和を守るため、Xボンバーが飛び立つ

西暦2999年、謎のゲルマ帝国が太陽系に侵攻。地球防衛軍は、宇宙戦士訓練学校の3名、銀河シロー、ボンゴ・ヘラクレス、ビッグマン・リーを、ドクトル・ベンが建造した戦闘母艦Xボンバーのクルーとして選抜します。彼らとベンの秘書ラミアは、ゲルマ艦隊の圧倒的な戦力に対抗し、宇宙の平和を守るため壮絶な戦いを繰り広げます。

物語は、ラミアの正体、そして彼女の運命と、ゲルマ帝国との戦いを軸に展開します。ラミアが、ゲルマ帝国が探し求めていた大宇宙の女神・F-01であることが明かされ、西暦3000年を迎える際に覚醒。Xボンバークルーは、ラミアと共に、ゲルマ帝国の魔王やその手下のブラディ・マリー、コズロらと対峙し、幾多の困難を乗り越えていきます。

登場人物：個性豊かなキャラクターたちが織りなすドラマ

主要人物として、主人公の銀河シロー、クールなボンゴ・ヘラクレス、食いしん坊のビッグマン・リーといった個性豊かな宇宙戦士たち、そして謎の多いラミア、Xボンバーの艦長であるドクトル・ベン、ラミアの幼馴染であるキララ、サポートロボットのPPアダムスキーなどが登場します。

ゲルマ帝国側には、冷酷なゲルマ魔王、両性具有のブラディ・マリー、忠実なコズロ、科学班主任のゲドラ博士といったキャラクターたちが存在し、それぞれの思惑と目的が複雑に絡み合っています。地球防衛軍司令官のジェネラル黒田や、シローの父である銀河三郎博士なども重要な役割を担っています。

メカニック：緻密に作りこまれた宇宙戦艦と戦闘メカ

『Xボンバー』の魅力の一つに、そのメカニックデザインが挙げられます。全長259mの巨大宇宙戦艦Xボンバーは、特徴的なX型の主翼を持ち、優れた高速性と長期間の宇宙航行を可能とする生命維持機能を備えています。

Xボンバーには、ブレスト速射砲、Xインパルスといった強力な武器が搭載され、3機の艦載機トリプル・アタッカー（ブレインダー、ジャンボディー、レッグスター）を格納しています。トリプル・アタッカーは合体することで、巨大戦闘ロボットビッグ・ダイエックスに変形します。

一方、ゲルマ帝国もゲルマ母艦、ゲルマ空母、ゲルマ・ファイターといった強力な兵器を保有し、Xボンバーの前に立ちはだかります。

玩具とメディアミックス：多様な展開で人気を獲得

『Xボンバー』は、タカトクトイスから発売された玩具も大ヒット。特にビッグ・ダイエックスは人気が高く、様々なメディアミックスにも展開されました。漫画版は複数の雑誌で連載され、海外でも放送され、イギリスでは『STAR FLEET』のタイトルで、フランスでは『BOMBER X』のタイトルで放送されました。

低迷した視聴率と玩具の成功：複雑な商業的成功

裏番組に『電子戦隊デンジマン』や『料理天国』といった人気番組があった影響もあり、番組の視聴率は低迷し、予定通り2クールで終了しました。しかしながら、タカトクトイスから発売されたロボット玩具は、当初の目標を大きく上回る売上を記録するなど、商業面では成功と失敗が混在する作品となりました。

現在に残る遺産：愛され続ける不朽の名作

『Xボンバー』は、現在でも多くのファンから愛され続けている作品です。緻密な人形造形、個性豊かなキャラクターたち、そして魅力的なメカニックデザインなど、様々な要素が融合した、独特の世界観は、現代においても多くの人の心を掴む力を持っています。デジタルリマスター版DVD-BOXの発売など、近年でも再評価の機運が高まっており、その魅力は今後も受け継がれていくことでしょう。

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