XCH-62 (航空機)

ボーイング・バートル XCH-62

ボーイング・バートル XCH-62は、アメリカ合衆国ボーイング・バートル社によって設計された、3発のターボシャフトエンジンを搭載した特殊な輸送ヘリコプターです。このプロジェクトは1971年に始まり、1974年に一機のみ製作されましたが、最終的には計画が中止されました。後にアメリカ航空宇宙局（NASA）の関与によって再び注目されましたが、これも1983年には頓挫しました。

設計と開発の過程

アメリカのボーイング社は、既存の大型ヘリコプターであるCH-47 チヌークの設計をもとに、更に大型の機体の開発を目指しました。CH-47のペイロードは28,000ポンドでしたが、ソビエト連邦のミルMi-26やミルMi-12といった大型ヘリコプターに比べると見劣りするものでした。このため、アメリカ軍とボーイング社は、これらのヘリコプターに対抗できる機体の開発を強く求めていました。

1960年代の終わりに、ボーイング社はCH-46 シーナイトやCH-47 チヌークと共通の特徴を持ちながら、サイズ的にはチヌークの約2倍にあたる機体の設計を進めていました。これには、輸送機型の「モデル 227」とクレーン機型の「モデル 237」が含まれていました。1973年には、「重クレーン・ヘリコプター」というプロジェクトの下で陸軍からの契約を受け、新機体「XCH-62」の開発が本格化します。

XCH-62の特長

XCH-62は、ローター直径が28メートル、胴体長27.2メートル、全長に至っては49.5メートルという特大サイズを誇りました。この設計により、機体は非常に重い貨物を搭載する能力を持ち、さらに12人の兵員を搭乗させることが可能でした。ボーイング社は、この機体を民間に向けても「モデル 301」として販売を検討しました。

エンジンには、アリソンXT701-700ターボシャフトエンジンを3基搭載し、出力は合計で8,079 shpに達しました。試作機は1976年の初飛行を予定して1975年に組み立てが始められましたが、いくつかの技術的な問題に直面しました。

技術的課題

テスト中には、主要なトランスミッションでの不具合が発生しました。これを受けて新たなベベルギアが設計され、設置されました。これにより、ユニットにかかる荷重をより正確に把握するための分析手法が検討されました。米陸軍向けに開発されたこの機体は、最終的にアメリカ合衆国議会によって予算削減の対象となり、1975年8月に計画はキャンセルされました。

その後の運命

未完成の試作機はアメリカ陸軍航空博物館に保管されましたが、1980年代半ばにはNASAと共に実験飛行を行うために再び手が加えられることになりました。しかし、再度の予算削減が影響し、計画は実現しませんでした。

西側諸国で製作された最大のヘリコプターであったXCH-62は2005年に廃棄処分とされるまで博物館で展示され、さらに2008年には一部がイギリスのウェストン・スーパー・メアに送られることとなりました。

主要スペック

• - 乗員: 最大
• - 搭載量: 多数
• - 全長: 26.59 m
• - 全高: 9.83 m
• - 主ローター直径: 28.04 m
• - 空虚重量: 27,025 kg
• - 全備重量: 53,524 kg
• - エンジン: 3基のアリソンT701-AD-700ターボシャフトエンジン、合計8,080 hp
• - 最高速度: 269 km/h
• - 戦闘航続距離: 2,800 km

このように、ボーイング・バートル XCH-62は革新的なデザインと機能を備えながらも、多くの技術的課題と予算の制約に直面した歴史を持つ機体となっています。

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