XF-91 (航空機)

XF-91 サンダーセプター

XF-91 サンダーセプターは、リパブリック・アビエーションによって開発された混合動力の試作迎撃機です。元々はXP-91という名称で呼ばれ、飛行時には通常のジェットエンジンを使用し、上昇や迎撃時には小型ロケットエンジンの4基を併用して推力を加える仕組みとなっています。この機体は1950年代初頭に設計されましたが、その頃にはすでに多くの設計要素が古くなっていました。これは、当時のジェットエンジンの性能が急速に改善されていたためです。最終的に試作機は僅か2機のみが製造され、そのうちの1機は水平飛行において音速を超えた最初のアメリカ空軍の戦闘機となりました。

ユニークな翼設計

サンダーセプターの特異な点は、逆テーパー翼という翼の形状にあります。この設計は従来の後退翼とは異なり、翼根から翼端に向かって翼弦の長さが増加しているため、高速機特有の危険な現象であったピッチ上げの問題に対処するために考案されました。この翼型は、翼全体の失速を滑らかにし、空気の流れを安定させることを目的としているため、機体の挙動をより安定させました。

設計過程

リパブリック社は、XP-84戦闘機の開発進行中に、戦闘機にロケットエンジンを搭載するアイデアを掴み、設計を進めていきました。この時期に、ドイツのメッサーシュミットMe163やMe262Cといったロケット動力機体の影響を受けており、これらの機種にインスピレーションを得たとされています。サンダーセプターは、当初のF-84 サンダージェットを基にした後退翼の一種であり、もう一つのデザインは後にF-84-F サンダーストリークとして完成を見ました。

この時代の航空機設計には、低速で高い迎え角を取ったときに生じる安定性の問題が多く見られました。サンダーセプターは、このピッチ上げの問題を解決することを目的としてデザインされ、主翼の翼端にかけて翼弦が長くなるように設計されました。この変更により、揚力の中心が重心に対して前方へ移動するのを遅らせ、操縦の安定性を保つことができました。

機体の特性

サンダーセプターは、特に着陸時に胴体を水平に保てる取付角の調整機能を持ち、視界の向上にも寄与しています。このように、機体は優れた操縦性と離着陸のしやすさを兼ね備えています。試作機は1949年に初飛行し、1951年には音速の壁を突破しました。その間、両試作機は192回の飛行試験を行い、性能評価が行われました。

試験と事故

特に第二試作機において、エンジン障害が発生し、テストパイロットが脱出を余儀なくされる事故が起こりました。事故後は、その機体がV字尾翼を持つよう更新され、その後事故訓練用のシミュレーターとして使用されました。

技術的限界

サンダーセプターは他国の迎撃機設計によって、その能力が早くも陳腐化していきました。1954年にはより先進的な設計が提案され、サンダーセプターの運用限界が際立つようになりました。特に、最大で25分の飛行時間では広大なアメリカ合衆国領空の防衛には不向きとされていました。

展示

現在、サンダーセプターの試作機「46-0680」はオハイオ州デイトンの国立アメリカ空軍博物館に展示され、多くの訪問者にその歴史的背景を提供しています。技術の進化と航空機設計の変遷を象徴する機体として、XF-91 サンダーセプターの存在感は今でも色あせることがありません。

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