XIII機関

XIII機関とノーバディ

ディズニーとスクウェア・エニックスの世界が融合する人気ゲームシリーズ『キングダム ハーツ』において、物語の重要な鍵を握る存在が「ノーバディ」と、彼らによって構成される組織「XIII機関」です。これらの存在は、主人公ソラたちの旅路において幾度となく立ちはだかり、世界の均衡を揺るがす脅威となります。

ノーバディとは

ノーバディは、強い心を持った人間が闇に心を奪われ、「ハートレス」と化した際に、極めて稀にその抜け殻となった肉体と魂から生まれる特殊な存在です。通常、心が失われれば肉体と魂も消滅しますが、特別な条件下でノーバディとして別の世界に生まれ落ちることがあります。人であった頃の記憶を保持し、あたかも意思を持っているかのように振る舞いますが、感情は存在せず、それはあくまで過去の記憶に基づく模倣に過ぎません。「存在しない者」「抜け殻」などとも称され、光と闇の狭間に位置する不完全な存在とされています。外見は人間に近いものが多く、鋭利な形状や白・銀の体色が特徴です。ハートレスのような数の多さはありませんが、個々の戦闘能力はハートレスを凌駕します。ある程度の知性を持ち、XIII機関の統制下で組織的に行動することもあります。ノーバディには「死」の概念がなく、最期は「消滅」と呼ばれます。

ノーバディは、ハートレスがキーブレードによって倒され心が解放され、自身が消滅することで、元の人間として再生することができます。この再生の際、ノーバディ時代の記憶も引き継がれます。しかし、ロクサスやナミネ、そしてゼムナスといった一部のノーバディは、その誕生や性質が特殊であり、元の人間とは独立した自我を持つ点で例外的な存在です。特にロクサスとナミネは、本来あり得ない「本体（ソラとカイリ）との同時存在」を果たしました。本体との接触は、彼らが本体の中に戻ることを意味します。

ノーバディのシンボルマークは、逆さまになった欠けたハートに十字架を組み合わせたような形をしています。欠けたハートは心を失った状態を表し、このマークはXIII機関の指導者ゼムナスが、自身の人間時代の記憶にある紋章を元に考案したとされています。

XIII機関とは

XIII機関は、強い心を持つがゆえにノーバディとなった者たちの中から選ばれた13人のメンバーによって組織されています。彼らは下級ノーバディを支配・統率し、それぞれの目的達成のため様々な世界で暗躍します。共通の特徴として、闇の侵食を防ぐ黒いコートを常に着用し、フードで顔を隠すことが多いです。このコートや、メンバーの名前に不自然な「X」を加えてアナグラムにする命名規則は、指導者ゼムナスの人間時代の経験（マスター・ゼアノートやテラ）に由来しています。

彼らの最大の目的は、「人の心のキングダムハーツ」を完成させ、それによって失われた「心」を手に入れ、完全な存在になることです。キングダムハーツの完成には、キーブレードで倒されたハートレスから放出される心を大量に集める必要があります。しかし、これは同時に多くの心を元の場所へ帰れなくするため、世界に悪影響をもたらす行為です。かつては感情に支配されることを拒んだ彼らですが、心を失ったことの大きな喪失感に気づき、心を取り戻すことに執着するようになりました。

組織は、賢者アンセムの弟子たちのノーバディを含む初期メンバー6人から始まり、順次メンバーを増やして13人体制となりました。メンバーには加入した順番にナンバーが与えられ、若いナンバーほど古参です。ただし、ナンバーと実力や組織内での立場は必ずしも一致しません。実力者としてはゼムナスが筆頭で、ザルディン、レクセウス、そして潜在能力の高いロクサスが上位に挙げられます。組織名の「XIII機関」も、13番目のメンバーであるロクサスが加入した後に用いられるようになった名称です。メンバー全員が揃うことは極めて稀で、物語中で一時期全員が集結したのはわずか3週間程度でした。

シリーズにおける変遷

XIII機関は『キングダム ハーツ チェイン オブ メモリーズ』、『キングダム ハーツII』、『キングダム ハーツ 358/2 Days』を中心に登場します。『キングダム ハーツ ファイナル ミックス』の隠し要素としてゼムナスが先行登場し、その存在が示唆されました。ソラやリクの前に敵として立ちはだかりますが、戦いに敗れたり、組織内の裏切りなどによってメンバーは次第に数を減らし、最終的に壊滅します。ノーバディが倒されると元の人間として再生するため、機関員の消滅はそれぞれの人間としての復活を意味しました。

しかし、XIII機関を組織したゼムナスの真の目的は、単に心を取り戻すことだけではありませんでした。それは、マスター・ゼアノートの計画を引き継ぎ、13人の闇の探求者（13人のゼアノート）を誕生させるための「器」を揃えることでした。キングダムハーツはそのための媒介に過ぎず、「ノーバディに心はない」と偽ったのも、機関員を計画の駒として利用するためでした。

XIII機関の壊滅後、元の人間として再生したマスター・ゼアノートを中心に、メンバーを刷新した「真のXIII機関」が結成されます。こちらはノーバディである必要はなく、「闇の心を持つ者」が選ばれ、過去の様々な時代のゼアノートやその影響を受けた者たちによって構成されました。彼らは「7人の光の守護者」と衝突し、キーブレード戦争を再現することを目的とします。真XIII機関のメンバーには、旧機関からの続投組もいますが、多くはマスター・ゼアノートの分身や過去の時代の存在です。彼らの多くはレプリカを器として現代に姿を現しています。

『キングダム ハーツ 358/2 Days』では、ロクサスを主人公に据え、XIII機関の一員としての日常や任務、組織内部の人間関係が詳細に描かれました。また、『キングダム ハーツII ファイナル ミックス』や『キングダム ハーツIII』のダウンロードコンテンツでは、強敵として機関メンバーと再戦できる機会も設けられ、その圧倒的な強さがプレイヤーに示されました。

主なメンバー

XIII機関、そして真XIII機関には、様々な個性と能力を持つメンバーが所属していました。例えば、旧XIII機関の主要メンバーには、指導者ゼムナス（ノーバディ化前の姿はテラ＝ゼアノート）、魔弾の射手シグバール（ブライグ）、旋風の六槍ザルディン（ディラン）、い凍てつく学究ヴィクセン（エヴェン）、静かなる豪傑レクセウス（エレウス）、影歩む策士ゼクシオン（イェンツォ）、月に舞う魔人サイクス（アイザ）、踊る火の風アクセル（リア）、夜想のしらべデミックス、運命を賭す者ルクソード、優雅なる凶刃マールーシャ（ラーリアム）、非情の妖姫ラクシーヌ（エルレナ）、そしてめぐりあう鍵ロクサス（ソラのノーバディ）がいます。ナンバー14のシオン（No.iレプリカ）は非正規メンバーでした。

真XIII機関では、マスター・ゼアノートを筆頭に、闇の探求者アンセム（テラ＝ゼアノートのハートレス）、ゼムナス、シグバール、ルクソード、ラクシーヌ、マールーシャ、サイクス、テラ＝ゼアノート、ダーク・リク（リク＝レプリカ）、ヴァニタス、ヤング・ゼアノート、そしてシオン（再製造されたレプリカ）といった面々が主要な「闇の器」として揃えられました。ヴィクセンやデミックスは補欠メンバーとして登場しました。

XIII機関およびノーバディは、『キングダム ハーツ』シリーズの根幹をなす「心」の探求と、それを巡る光と闇の戦いを深く掘り下げた存在であり、物語に大きな影響を与え続けています。

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