XML Process Definition Language

XML Process Definition Language (XPDL) について

XML Process Definition Language（XPDL）は、ワークフロー製品間、具体的にはモデリングエンジンやワークフローエンジンといった異なるシステム間で、ビジネスプロセス定義を交換するための標準形式として策定されました。Workflow Management Coalition (WfMC) によって定義され、XMLスキーマを用いてワークフローの宣言部を記述します。XPDLの主な目的は、ビジネスプロセスのワークフローを視覚的かつ意味的に定式化し、異なるシステム間で共有できるようにすることです。

XPDLの特徴

XPDLの最大の特徴は、ビジネスプロセスのワークフローを視覚的に表現するための情報を持つ点です。具体的には、活動ノードの二次元座標や、ノード間の接続を示す線の座標といった情報が含まれています。これにより、XPDLは単にプロセスの実行順序を記述するだけでなく、プロセスをグラフィカルに表現するためのデータも保持します。この点は、類似の形式であるBPEL（Business Process Execution Language）と大きく異なります。BPELはプロセスの実行的側面に焦点を当てており、ワークフローの図示は考慮されていません。

XPDLの歴史

1993年8月、WfMCが設立され、ワークフロー管理システムの標準化に向けた取り組みが始まりました。1995年には、ワークフロー管理システムが持つべき5つのインタフェースの概要を示す「Workflow Reference Model」が発表されました。このモデルでは、インタフェース1がビジネスプロセス定義のためのインタフェースであり、プロセス定義言語とシステムとのインターフェースから構成されることが定義されています。

最初のプロセス定義言語であるWorkflow Process Definition Language (WPDL) は、1998年に発表されました。WPDLは、ワークフロー自動化に必要なすべての概念を網羅しており、相互運用デモを通じて、プロセスモデルの交換の利便性が実証されました。

同じく1998年には、XMLをベースにした標準が登場します。これがXML Process Definition Language (XPDL) 1.0です。WPDLのコンセプトを継承しつつ、XMLの文法を利用して、より柔軟で拡張性の高い記述を可能にしました。XPDL 1.0は、2002年にWfMCによって承認され、多くのワークフロー製品やBPM製品で採用され、プロセスモデル交換の標準的な言語としての地位を確立しました。XPDLの登場は、ワークフロー分野の研究を大いに促進しました。

WfMCはその後もプロセス定義言語の改良と更新を続け、2004年には、プロセスの視覚的表現の標準であるBPMN（Business Process Model and Notation）を承認しました。XPDLはBPMNが表現できる図をXML上で全て記述することを目標として拡張され、2005年10月にはXPDL 2.0がWfMCによって承認されました。

XPDLの技術的な側面

XPDLはXMLベースであるため、構造化されたデータ形式でプロセスを定義できます。これにより、ソフトウェアによる解析や処理が容易になり、異なるシステム間でのデータの受け渡しがスムーズになります。XPDLは、プロセスの定義だけでなく、その実行に必要な情報も記述できるため、ワークフローエンジンがプロセスを自動的に実行する上で不可欠です。

XPDLと他の技術との関係

XPDLはBPMNと密接な関係があります。BPMNはプロセスの視覚的な表現のための標準であり、XPDLはそれをXMLで記述するための標準です。したがって、BPMNで作成されたプロセス図をXPDLに変換することで、システム間での共有が可能になります。

また、XPDLはBPELと比較されることも多いですが、前述のように、BPELはプロセスの実行に焦点を当てているのに対し、XPDLは視覚的な表現も重視しています。どちらの形式が適切かは、具体的な要件によって異なります。

XPDLの参考文献

XPDLに関する研究や解説は多岐にわたります。以下にいくつかの重要な参考文献を挙げます。

Wil M.P. van der Aalst, "Business Process Management Demystified: A Tutorial on Models, Systems and Standards for Workflow Management", Springer Lecture Notes in Computer Science, Vol 3098/2004.
Wil M.P. van der Aalst, "Patterns and XPDL: A Critical Evaluation of the XML Process Definition Language", Eindhoven University of Technology, pdf file
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XPDL関連技術

ビジネスプロセス管理 (BPM): XPDLはBPMの中核的な要素であり、プロセスの定義と自動化を可能にします。
BPMN (Business Process Model and Notation): プロセスの視覚的表現の標準であり、XPDLとの連携が重要です。

XPDLに関する外部リンク

XPDL 2.0: XPDLの公式情報源です。
XPDL & Workflow Patterns PDF: XPDLとワークフローパターンに関する情報です。
critical comments on XPDL 1.0: XPDL 1.0に関する批評的なコメントです。
Enterprise Workflow National Project: イギリスにおける政府機関でのWfMCの活用事例です。
JaWE: オープンソースのXPDLエディタです。
Bonita: オープンソースのXPDLエディタ/エンジンです。
JPEd: オープンソースのXPDLエディタです。
WfMOpen: オープンソースのXPDLエンジンです。

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