XP-4 (航空機)

ボーイング XP-4：夢と挫折の複葉戦闘機

ボーイングXP-4は、アメリカのボーイング社が1920年代に開発した複葉式の戦闘機であり、記録としては短いテスト飛行を経たのみで、それ以降は運用されることがありませんでした。時代背景には、アメリカ陸軍が航空技術の向上を目指し、特にエンジン性能に注視していたことがあります。

設計の背景と開発過程

1926年、アメリカ陸軍は航空機のエンジン性能を引き上げるために、ターボ過給器の導入に大きな関心を寄せました。これを受けて、ボーイング社は既存のボーイングPW-9をベースにした最終モデルの開発を始めました。陸軍の要求に応じて、搭載されるエンジンはパッカード製の1A-500型で、出力は510馬力に強化されました。

加えて、PW-9に装備されていた機銃の配置も変更され、より多くの火力を持つことになりました。具体的には、機首に2挺の機関銃（1挺が12.7mm、もう1挺が7.62mm）を搭載し、主翼下にも2挺の7.62mm機銃を加えました。この改良によって攻撃能力が向上するはずでしたが、同時に機体の重量も増加しました。特に、下翼の翼幅は290 cm（9.5フィート）にも広がりました。

1927年7月27日、XP-4はライトフィールドに納入され、テスト飛行が計画されましたが、すぐに問題が発覚しました。パッカードエンジンは800ポンド（約360kg）の重量増を支えるだけの出力を持っておらず、予想以上に性能が劣っていました。そのため、開発計画は早期に中止されることとなりました。

XP-4の要目

ボーイングXP-4の特徴は以下の通りです：

• - 乗員：1名
• - 全長：7.29 m（23 ft 11 in）
• - 全幅：9.78 m（32 ft 1 in）
• - 全高：2.69 m（8 ft 10 in）
• - 翼面積：22.8 m²（245 ft²）
• - 空虚重量：1,264 kg（2,783 lb）
• - 最大離陸重量：1,655 kg（3,650 lb）
• - エンジン：パッカード 1A-500（510 hp、過給器付き水冷ピストンエンジン）
• - 最高速度：168 mph（270 km/h）
• - 巡航速度：120 mph（193 km/h）
• - 航続距離：375マイル（604 km）
• - 上昇限度：22,850 ft（6,965 m）
• - 上昇力：1,400 ft/min（7.1 m/s）
• - 武装：機首に7.62 mmおよび12.7 mmの機関銃各1挺、主翼下に7.62 mm機関銃2挺

結論

ボーイングXP-4は、航空機技術の進化の初期段階での一つの試みとして位置づけられますが、過給器搭載による性能向上に失敗し、わずかな飛行試験の後に開発が終了したことは、航空歴史の中の異色のエピソードと言えるでしょう。この機体は、航空機設計の挑戦とその限界を象徴する存在として記憶に残ります。

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