XP-52 (航空機)

ベルXP-52およびXP-59: アメリカの戦闘機開発の歴史

第二次世界大戦の激動の中で、アメリカのベル社は革新的な戦闘機の開発に取り組みました。その中でも特に注目されたのが、XP-52とその発展型であるXP-59の計画でした。しかし、いずれの機体も実際には製作されることはありませんでした。

XP-52: 独特な設計と開発の経緯

XP-52は、1939年にベル社が自社のモデル16として計画した双胴機です。この機体は、空気抵抗を軽減するためにコックピットを埋め込み式にし、双胴の中心に倒立V型のコンチネンタル XIV-1430エンジンを搭載していました。また、推進方式には2重反転プロペラが採用されるなど、独創的な設計が特徴でした。

1940年には6機の試作機が発注されましたが、翌年には飛行性能の向上が期待されるR-2800エンジンを搭載したXP-59の開発へ切り替えられ、XP-52の計画は進展しないまま終了しました。最終的にはモックアップも完成することなく製作中止となりました。このような事態は、P-47やP-51といった他の戦闘機の登場が影響を与えたと言われています。

XP-59: 新たな挑戦

XP-59はXP-52の発展型として開発が進められました。この機体は、より大型で強力な性能を持つことを目指して設計されました。XP-59の特徴としては、全幅が12.19メートル、全長が11.36メートル、高さは3.66メートルで、翼面積は26.60平方メートルを誇りました。搭載されていたP&W R-2800エンジンは、空冷18気筒で2,000馬力という力強さを持ち、最大速度は733 km/hに達しました。

しかし、XP-59もまたP-47やP-51の影響を受け、最終的には不要と判断され、計画は途中で終了しました。興味深い点は「P-59」という名称が、同時期に開発されていたジェット戦闘機の存在を隠すために再度利用されたことです。

仕様の比較

XP-52の主な仕様

• - 乗員: 1名
• - 全幅: 10.67 m
• - 全長: 10.36 m
• - 全高: 2.82 m
• - 翼面積: 21.60 m²
• - 重量: 2,939 kg
• - 全備重量: 3,969 kg
• - 発動機: コンチネンタル XIV-1430-5
• - 最高速度: 684 km/h
• - 実用上昇限度: 12,192 m
• - 航続距離: 1,545 km
• - 武装: 12.7mm機銃×6、20mm機銃×2

XP-59の主な仕様

• - 乗員: 1名
• - 全幅: 12.19 m
• - 全長: 11.36 m
• - 全高: 3.66 m
• - 翼面積: 26.60 m²
• - 重量: 3,611 kg
• - 全備重量: 4,746 kg
• - 発動機: P&W R-2800-23
• - 最高速度: 733 km/h
• - 実用上昇限度: 11,582 m
• - 航続距離: 1,368 km
• - 武装: 12.7mm機銃×6、20mm機銃×2

いずれの機体も、実現には至りませんでしたが、その設計思想や試みは後の航空機開発に大きな影響を与えることとなりました。

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