XP-57 (航空機)

XP-57: アメリカの幻の戦闘機

XP-57は、第二次世界大戦の真っ只中、アメリカ合衆国で設計された戦闘機である。この機体は、一度も実際に製作されることなく、計画の段階で終わってしまった。その背景には、会社の資金不足という厳しい現実があった。

概要

1940年5月、タッカー社（Tucker Aviation Company of Detroit）はアメリカ陸軍航空隊に対し、小型軽量戦闘機の設計提案を行った。この提案の中で、彼らが目指したのは金属製の胴体と木製の主翼を持つ機体であった。エンジンには、液冷式の直列8気筒レシプロエンジンを搭載する予定で、出力は720馬力を誇った。エンジンは操縦席の後ろに位置し、長いシャフトを利用して機首にある二枚のプロペラを回転させる構造であった。

この戦闘機は、優れた飛行性能を追求するとともに、戦闘機としての役割に必要な武装を施すことを考慮されており、予定されていた武装は機銃が3門だった。主翼の配置は低翼配置となり、機体の安定性と操縦性を向上させる設計となっていた。

開発の経緯

アメリカ陸軍は当初、XP-57の試作機1機の発注を決定したが、タッカー社は資金面での問題を抱えていた。1941年2月、予想される製造費用を賄うことができず、計画は中断されることとなった。こうしてXP-57は、一時期は注目を浴びたものの、実際には空を飛ぶことなく、記憶の中にだけ存在する「幻の戦闘機」となった。

設計要目

XP-57の設計要目は次の通りである。

• - 全長: 8.10m
• - 全幅: 8.67m
• - 全高: 2.44m
• - 最大速度: 308マイル/h
• - 乗員: 1名
• - エンジン: Miller L510 レシプロエンジン（720馬力）
• - 武装: 機銃3門（.50口径機銃3門または、.50口径機銃1門・20mm機銃2門）

結論

XP-57は、その魅力的な設計と性能データから、多くの戦闘機愛好者や歴史愛好者にとって興味深い存在であるが、実機が存在しなかったために、その影響は限られていた。というのも、この機体は戦局における技術革新や設計思想を反映した一例であり、その計画の中断は当時のアメリカが直面していた資金繰りの難しさを象徴している。XP-57は、実現しなかった戦闘機の一つとして、今もなお多くの人々の記憶に留まり続けている。

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