XP-8 (航空機)

XP-8 - ボーイングの試作戦闘機

XP-8は、アメリカのボーイング社が開発した試作の複葉戦闘機で、1920年代に登場しました。社内では「モデル66」として知られていました。この機体はその設計において特異な特徴を持っており、エンジンのラジエーターを下翼の中に収納するという革新的なアプローチが採用されています。

設計と開発

1925年、アメリカ陸軍航空隊は新しい戦闘機の開発を促進するために公募を行いました。この公募に応える形で、ボーイングは1926年にモデル66の自主開発に着手しました。モデル66は、当時のPW-9の機体を基に設計され、600馬力を発揮するパッカード2A-1530エンジンが搭載されました。

この機体のデザインの特徴は、エンジン周辺の流線型化です。ラジエーターの開口部が下翼の前端に移され、エンジン周りのサイズは非常に細く、他に類を見ない特異な形状を実現しました。この設計は当時の航空技術における新しい試みとして注目されました。

試験と性能

XP-8は、1928年1月からアメリカ陸軍によって試験が行われました。飛行性能に関しては期待されていたほどの結果を示すことはありませんでしたが、扱いやすさでは良好な評価を受けました。最高速度は173.2マイル（277 km/h）に達しましたが、他には優れた点は見られませんでした。

試作機は1929年6月まで陸軍航空隊で運用され、その後廃棄されました。興味深いことに、XP-8の機体設計は後のボーイングF2Bに引き継がれることになりました。XP-8はその名残を持ちながらも新たな形での発展を遂げたのです。

XP-8の主な仕様

乗員: 1名
全長: 23 ft 5 in （7.14 m）
全幅: 30 ft 1 in （9.17 m）
全高: 9 ft 0 in （2.74 m）
翼面積: 260 ft² （24.15 m²）
空虚重量: 2,390 lb （1,084 kg）
最大離陸重量: 3,421 lb （1,552 kg）
エンジン: パッカード 2A-1530 液冷ピストンエンジン（600 hp）×1
最高速度: 153ノット（176 mph、283 km/h） / 高度6,000 ft（1,830 m）
巡航速度: 129ノット（148 mph、238 km/h）
航続距離: 283カイリ（325マイル、523 km）
上昇限度: 20,950 ft（6,386 m）
上昇力: 1,750 ft/min（8.89 m/秒）
武装: 機関銃2挺（7.62 mm、12.7 mm 各1）

まとめ

XP-8の開発は、ボーイング社の技術革新の一環として位置づけられています。設計における斬新なアイデアとその結果としての試験データは、戦闘機開発における重要な教訓をもたらしました。XP-8は短命ではありましたが、その影響は後の航空機に引き継がれるなど、航空史における特異な存在として記憶されることでしょう。

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