XRandR

XRandR（エックス・アール・アンド・アール）とは

XRandRは、X Window System環境において、ディスプレイ設定を動的に変更するためのライブラリとコマンドラインツールです。X Window Systemの初期設計では、ディスプレイ設定の変更にXサーバの再起動が必要でしたが、XRandRの登場により、この制約が解消されました。これにより、ユーザーは、解像度の変更、画面の回転、モニターの切替え、マルチモニターの設定などを、Xセッションを中断することなく、リアルタイムに行えるようになりました。

XRandRの主な機能

• - 解像度の変更: ディスプレイの解像度を、動的に変更できます。これにより、表示内容に合わせて最適な解像度を選択できます。
• - 画面の回転: ディスプレイの表示を、回転させることができます。縦長のディスプレイを、横表示で利用する際などに便利です。
• - モニターの切替え: 接続されている複数のモニターを、任意に切り替えることができます。プレゼンテーションなど、特定のモニターにのみ表示したい場合に活用できます。
• - マルチモニターの設定: 複数のモニターを、一つのデスクトップとして利用するための設定が行えます。これにより、作業領域を拡張し、効率的な作業が実現できます。

XRandRの背景

初期のX Window Systemでは、ディスプレイ設定の変更にはXサーバの再起動が必須でした。これは、ディスプレイのサイズ変更などの要求が当初の設計に織り込まれていなかったためです。しかし、RandR拡張フレームワークが導入されたことで、Xサーバの再起動なしに、これらの設定を動的に変更できるようになりました。このフレームワークは、特にラップトップやハンドヘルドサイズのコンピュータにおいて、組み込みディスプレイ以外の外部モニターを使用する際に、異なる解像度で表示するための柔軟性を提供します。

現在、XRandRのプロトコル仕様はバージョン1.2に達しており、より高度なディスプレイ制御をサポートしています。

コマンドラインツール：xrandr

多くのデスクトップ環境では、XRandRの機能をGUIで利用できますが、xrandrコマンドラインツールを使えば、より詳細な制御が可能です。xrandrコマンドを使うことで、ディスプレイの接続状況の確認、表示設定の変更など、さまざまな操作を柔軟に行うことができます。

xrandrコマンドの使用例

1. モニターと可能な設定の表示

bash
xrandr

このコマンドを実行すると、現在接続されているモニターの一覧と、各モニターで利用可能な解像度やリフレッシュレートが表示されます。

2. 全てのモニターを最高解像度で、同じ画面を表示

bash
xrandr --auto

このコマンドは、接続されているすべてのモニターを、それぞれの最高解像度に設定し、同じ画面を表示するようにします。

3. 内蔵モニターの右側に外部モニターを表示

bash
xrandr output VGA right-of LVDS

この例では、`LVDS`という名前の内蔵モニターの右側に、`VGA`という名前の外部モニターを配置しています。モニターの名前は、最初の `xrandr` コマンドで確認できます。

4. 内蔵モニターの上側に外部モニターを表示

bash
xrandr output VGA above LVDS

この例では、`LVDS`という名前の内蔵モニターの上に、`VGA`という名前の外部モニターを配置しています。

マルチモニター環境における注意点

マルチモニターを使用する場合、X11の設定ファイル（通常は `/etc/X11/xorg.conf`）で、仮想スクリーンの範囲を大きく設定しておく必要があります。

例:


Virtual 2048 2048

まとめ

XRandRは、X Window System環境におけるディスプレイ設定を動的に変更するための重要なツールです。コマンドラインツールやGUIツールを通じて、柔軟なディスプレイ管理を実現し、ユーザーの作業効率向上に貢献しています。Xサーバの再起動なしで、解像度変更、画面回転、マルチモニター設定などを簡単に行えるため、現代的なディスプレイ環境において不可欠な存在となっています。

関連情報

• - [X Window System]]
• - [X.org における XRandR プロジェクトページ
• - XRandRの使用法の解説（英文）
• - XRandRプロトコル仕様書

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