XScale

XScaleマイクロプロセッサ

XScale（エックススケール）は、インテルが開発した第5世代のARMアーキテクチャに基づくRISCマイクロプロセッサです。このプロセッサは、DECが開発したStrongARMの後継モデルであり、インテルがその半導体部門を購入した際に生まれました。インテルは古くなった自社のRISCプロセッサ群（i860、i960）を置き換える形として、XScaleを採用しました。2006年6月には、インテルはマーベル・テクノロジー・グループにXScaleおよびその関連チップの事業を6億ドルで譲渡しました。

アーキテクチャの特徴

すべてのXScaleプロセッサは、32ビットARM v5TEアーキテクチャを採用しており、32Kバイトのデータキャッシュと命令キャッシュを持ち、さらには2Kバイトのミニデータキャッシュも装備しています。第1世代から第2世代にかけては0.18μmプロセスで製造されていましたが、第3世代では90nmプロセスが導入されました。2006年11月にインテルはPXAプロセッサ事業をマーベルに譲渡しましたが、IXPネットワークプロセッサ事業はそのまま保持しているため、現在でもXScaleプロセッサコア技術を持つ製品がインテルとマーベルの両方から供給されています。

プロセッサのファミリー

XScaleには、アプリケーションプロセッサ（PXAシリーズ）、3G携帯電話用ベースバンドプロセッサ、I/Oプロセッサ（IOPシリーズ）、ネットワークプロセッサ（IXPシリーズ）など複数のファミリーが存在しています。特にPXAシリーズでは、さまざまなバリエーションが存在し、以下に一部を紹介します。

• - PXA210（2002年2月発表）: 主にエントリーレベル向けのプロセッサで、動作周波数は133MHzおよび200MHz。
• - PXA250（2002年2月発表）: 動作周波数は200MHz、300MHz、400MHz。
• - PXA270（2004年4月発表）: 動作周波数は312MHzから624MHzまでのモデルが存在し、性能向上を図っています。

また、XScaleプロセッサにはいくつかの新技術が導入されています。例えば、負荷に応じて自動的にクロックを調整する「ワイヤレス・スピードステップ」、新しいSIMD命令を追加した「ワイヤレスMMX」、組み込み用グラフィックスコプロセッサ2700Gの搭載などがあります。

使用例

XScaleプロセッサは、国内外の携帯電話やスマートフォン、携帯情報端末（PDA）などで数多く利用されており、有名な例としてウィルコムのW-ZERO3シリーズやさまざまなマルチメディア機器が挙げられます。さらに、産業用組み込み機器としても使用され、近畿日本鉄道の運転支援装置など、幅広い用途に適用されています。

まとめ

XScaleプロセッサは、その高性能と多機能性から、通信機器や組み込みシステムなど幅広い領域で利用されています。インテルからマーベルへの事業譲渡後も、その技術は進化し続けており、今後も新しい製品や技術が生まれることが期待されます。

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