XV-1 (航空機)

XV-1 コンバーチプレーンについて

XV-1 コンバーチプレーンは「転換式航空機」を意味し、アメリカ陸軍と空軍との共同研究によって開発された実験機です。これは、ホットサイクル式ローターを用いた複合ジャイロプレーンで、垂直離着陸が可能でありながら、従来の回転翼機よりも高い対気速度を享受できる設計がされていました。

開発の経緯

1951年、アメリカ空軍は、従来のヘリコプターに比べ、より高い速度での飛行が可能な複合ヘリコプターの開発を目指して設計競技を開始しました。この計画には、空軍システム軍団やアメリカ陸軍輸送科が参画し、いくつかの企業が設計を提出しました。その中で、マクドネル社が選ばれ、1951年6月、開発契約が結ばれました。

設計と特徴

XV-1の基本設計は当時の商用軽飛行機に基づいており、主にアルミ合金で構成されていました。主翼は先細で、機体上部に取り付けられた3枚羽根の主回転翼は、チップジェットによって動力を得ていました。さらに、水平尾翼と双胴の設計が採用され、安定性を確保しています。

この機体は、水平飛行時に主翼が揚力の大部分を支える一方、垂直離着陸時には主回転翼が重要な役割を果たしました。また、操縦室はほぼ全方向に視界が確保され、直列に配置された操作席が特徴的です。

飛行試験と性能

1954年2月、初号機が初めてのホバリング飛行試験を行い、7月には自由空中静止飛行が成功しました。1995年には200 mph (約320 km/h) の速度記録を達成し、当時の全てのヘリコプターよりも高速でした。具体的には、回転翼の羽根の先端速度に対し、0.95という高比率を達成しました。

しかし、チップジェット方式による燃費や騒音の問題、さらには構造の複雑さが整備の難しさを引き起こしました。また、エンジンの出力が限られたため、技術的な限界から運用の継続は難しく、1957年には計画が終了しました。

現存機体

現在、初号機はアラバマ州フォート・ラッカーの米国陸軍航空博物館で静態展示されています。第2号機はスミソニアン国立航空宇宙博物館に寄贈され、展示対象となっています。これらの機体は、XV-1の技術的な試みがもたらした航空技術の発展を物語っています。

仕様

• - 乗員: 1名または2名
• - 乗客: 2名ないし3名の乗客または担架2つ
• - 機体の長さ: 15.37 m
• - 翼幅: 7.92 m
• - 空虚重量: 1,940 kg
• - 総重量: 2,497 kg
• - 発動機: コンチネンタル・モータース製航空機用エンジン
• - 最高速度: 203 mph (約327 km/h)
• - 航続距離: 593 mi (約954 km)
• - 実用上昇限度: 6,000 m

このようにXV-1 コンバーチプレーンは、当時の航空技術の限界に挑戦し、高速での飛行を実現した画期的な機体として位置づけられています。

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