X世代

X世代（ジェネレーションX）

X世代とは、アメリカ合衆国をはじめとする国々で1965年から1970年代に生まれた世代を指します。これは、ベビーブーマーの次でミレニアル世代（Y世代）の前に当たります。この世代はしばしば「第13世代」とも呼ばれ、独自の社会的背景や文化的特異性を反映しています。

語源

「X世代」という名称の由来は、1950年代にハンガリー出身の写真家ロバート・キャパによって出版された写真集『Generation X』に遡ります。この中でキャパは、第二次世界大戦後に生まれた若者たちをテーマにした作品を発表しました。さらに、1991年にダグラス・クープランドが出版した著書『ジェネレーションX -加速された文化のための物語たち』が、大きな注目を集め、現在の理解に影響を与える要因となりました。クープランドは、1965年から1980年に生まれた世代を「ジェネレーションX」と名付けました。

ここでの「X」は、未知を示す象徴として使われています。このことから、X世代は前世代であるベビーブーマーと比べて、さらに特定し難い特徴を持つ世代の象徴としての地位を確立しました。

特徴

X世代は、ケネディ政権後の時代からベトナム戦争終結（1975年）までの間に生まれた世代です。この時期には、テレビの急速な普及が進む一方で、ベトナム戦争やヒッピー運動といった社会的変動の中で幼少期を過ごしました。特に親世代の離婚率が上昇し、少ない監督下で育った影響から、個人主義や内向性が強くなったと言われています。

学費の高騰が始まる手前の世代であり、こちらはミレニアル世代に比べて学生ローンの負担が少なかったのが特長です。しかし、社会に出る1980年代後半から1990年代半ばにかけては、冷戦の終結や企業のリストラが重なったため、非常に厳しい就職環境に直面しました。

逆に1990年代半ばからは、インターネットビジネスの盛況により、産業界での活躍が期待されるようになり、名だたる企業の創業者も多く含まれます。例を挙げると、Googleのラリー・ペイジやYahoo!のジェリー・ヤン、テスラのイーロン・マスクなどがこの世代に該当します。しかし、2000年代にはITバブルの崩壊やアメリカ同時多発テロ、さらにはリーマンショックにより、苦境に立たされることになりました。

文化面では、1970年代後半から1980年代前半にパンクロックが流行し、その影響下で育った世代でもあります。MTVなどの音楽チャンネルが影響を与えた結果、当時の若者たちは「MTV世代」とも呼ばれるようになりました。また、1990年代には、ニルヴァーナやエミネムなどのアーティストが登場し、音楽業界に新風を巻き起こしました。

政治面では、1972年のウォーターゲート事件以来、政治不信が一般的になり、X世代はその影響を色濃く受けています。彼らは社会や政治に対し冷淡であり、2016年と2020年の大統領選挙ではトランプ支持の基盤ともなりました。

アメリカ合衆国以外

日本では、1960年代中期から1970年代生まれが該当し、これはバブル世代や就職氷河期世代に連なる部分があります。南米のチリなども似たような就職難を経験した世代であり、アメリカのX世代と共通点が多いとされています。ただし、日本では経済的により恵まれた環境で成人したため、就職の状況には差異が見られます。これらの世代は、アメリカのX世代に近い特性を持つと考えられています。

X世代は、社会の複雑な変化と向き合いながら、それぞれの特徴を形成してきました。その結果、独自の視点や価値観を持つ世代として、現代社会に影響を与えています。

もう一度検索