YB-49 (航空機)

YB-49: 全翼型重爆撃機

YB-49は、第二次世界大戦が終結した直後にアメリカの航空機メーカーであるノースロップ社によって開発された試作型の重爆撃機です。この機体は全翼機という独特なデザインを持ち、アメリカ空軍のために設計されました。YB-49は、レシプロエンジンのYB-35の改良型であり、主にジェットエンジンを搭載している点が特徴です。

概要

YB-49は合計で2機が製作されました。その設計はYB-35からの進化形であり、レシプロエンジンからターボジェットエンジンへと変更されましたが、機体設計の見直しが不十分だったため、飛行特性に問題が生じました。その影響で試作機は墜落事故に遭い、1機が失われています。さらに、ジェットエンジンの燃費が悪化したことで、航続距離と搭載能力が下がるという課題も抱えていました。具体的には、全翼機の設計特性から機体内部の容積が制限され、爆弾倉の容量が不足したため大型爆弾や核[[爆弾]]の搭載が難しい状況でした。

これらの問題から、空軍は長距離戦略[[爆撃機]]としてより一般的な形状のコンベア B-36を採用しました。しかし、YB-49の機体設計の基本概念はその後のB-2スピリットの開発に活かされ、レーダーに捕捉されにくい特性を根付かせました。

開発の経緯

1944年に始まったB-35計画は進捗が遅れていたため、空軍は契約をキャンセルせざるを得ませんでした。それでも、全翼機の設計概念には注目が集まり、試作機は継続してテストされることとなりました。YB-49はその際、レシプロエンジンをターボジェットエンジンに変更。しかし、機体の形状はYB-35から大きくは変わらず、テイルコーン部には垂直安定板が追加されました。

試作機は1947年に初飛行を果たし、いくつかの非公式な飛行記録を樹立しましたが、操縦の難しさが明らかになり、テストパイロットからはその不安定性を指摘されました。1948年の墜落事故では、試作機の搭乗者全員が命を落とし、これはYB-49計画の命運を大きく変える出来事となりました。事故の原因は、失速させるテスト中に機体が不安定になったことに起因しています。

その後の展開

YB-49の開発が続く中、空軍からは偵察機型のRB-49Aが発注されましたが、計画は早期に中止されました。その後に残るYB-35の試験飛行も続けられたものの、爆撃機としての性能には課題が多く、最終的には全ての計画が中止されることとなりました。

陰謀論と技術的制約

YB-49の計画中止については、長年にわたり陰謀論が存在します。これらの主張のなかには、ノースロップ社が空軍長官からの圧力を受けて計画をキャンセルさせられたというものがありますが、実際には技術的な問題に加え、YB-49が当時の核兵器運搬能力を持たなかったことが中止の要因ともされています。

最終的な評価

YB-49の開発はジャック・ノースロップにとって重要なものでしたが、実現には至りませんでした。ノースロップ社の後のB-2開発では、当時の技術が進化し、YB-49で果たせなかった実用化を達成しました。全翼機には特有の設計上の難しさがあり、その後の時代にはコンピュータ制御によって操縦性の向上が図られるようになりました。

仕様 (YB-49)

• - 初飛行: 1947年10月1日
• - 乗員: 7名
• - 全長: 16.20 m
• - 全幅: 52.40 m
• - 空虚重量: 40,116 kg
• - 最大離陸重量: 87,969 kg
• - エンジン: アリソン J35-A-15 × 8
• - 最大速度: 793 km/h
• - 航続距離: 2,599 km（爆弾搭載時）

YB-49は、その設計と試作は航空機史における貴重な教訓を提供し、未来の航空機開発に影響を与えました。

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