Ye-2 (航空機)

MiG-21の前身、Ye-2戦闘機

Ye-2（E-2、ロシア語:Е-2、イェー・ドヴァー）は、ソビエト連邦においてミコヤン設計局が設計した試作の戦闘機です。この機体は、北大西洋条約機構（NATO）において「フェイスプレイト」というコードネームで知られています。Ye-2は、次世代のマッハ2級戦闘機を目指して開発されたもので、その特異な設計や性能は特筆に値するものがあります。

開発の背景

ミコヤン設計局および国立航空宇宙研究所（TsAGI）は、次期戦闘機の設計において、後退翼とデルタ翼のいずれが優れた選択肢かを見極める必要がありました。これに対する答えを出すために、両タイプの機体を実際に制作し性能を比較することが決定されました。その過程で、当初予定されていたAM-11エンジンの開発が遅れたため、即座に使用できるAM-9Bエンジンを搭載したYe-2が先に完成しました。

Ye-4はデルタ翼機として同じくAM-9Bエンジンを搭載して開発され、後にAM-11エンジンを搭載したYe-2AやYe-5も作られました。1955年に初飛行を果たしたYe-2は、当時としては非常に優れた性能を持ち、マッハ1.8に達することができました。この結果、Ye-2は一時的にMiG-23という名称も与えられました。

NATOコードネームの由来

Ye-2とその派生機は、1956年の航空ショーでNATOによって正式に命名されました。Ye-4は「フィッシュベッド」、Ye-2Aは「フェイスプレイト」と呼ばれ、特にYe-2Aはその完成度の高さからMiG-21として生産が始まることとなります。各機体の間で性能が比較され、最終的には簡略な構造と軽量なYe-5が採用される結果となりました。

派生型と特徴

Ye-2の開発の過程で多くの派生機が生まれました。特に、Ye-1はエンジンにAM-5Aを搭載した後退翼機として開発されましたが、その性能が不足していたため製造は中止されました。一方、Ye-1AはYe-50に改名され、具体的な性能面での試行がなされました。

スペック

• - 全長：13.23 m
• - 全幅：8.11 m
• - 翼面積：21.0 m²
• - 空虚重量：4,340 kg
• - 最大離陸重量：6,250 kg
• - 発動機：AM-9B ターボジェットエンジン×1基
• - 最大速度：1,900 km/h
• - フェリー航続距離：2,000 km
• - 実用上昇限度：18,000 m

Ye-50はドゥシュキンS-155ロケットエンジンを搭載した混合動力機として開発されましたが、計画は中止されました。全体として、Ye-2及びその派生機は後にMiG-21シリーズへとつながる重要な一歩を刻みました。これにより、ソビエト連邦の航空技術は一段と進化し、世界の航空史においても大きな影響を及ぼしました。

外部リンク

MiG-21の詳細

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