Zcash

Zcash（ジーキャッシュ）は、分散型の暗号通貨であり、ビットコインと同様のブロックチェーン技術を基盤としていますが、プライバシー保護に重点を置いている点が特徴です。ユーザーのプライバシーを強化するために、暗号理論を駆使した設計がなされています。

Zcashの概要

Zcashの最大発行量は2100万ZEC（Zcashの単位）と定められています。この点はビットコインと同様です。トランザクション（取引）は、使用されるアドレスの種類によって2つに分類されます。一つは「t-addr（トランザクションアドレス）」、もう一つは「z-addr（シールドアドレス）」です。

t-addr（トランザクションアドレス）

t-addrはビットコインのトランザクションと同様に、トランザクションの内容が公開される「透過的(transparent)」なアドレスです。取引に関わるアドレスや送金額などの情報がブロックチェーン上で公開されます。

z-addr（シールドアドレス）

z-addrは、プライバシー保護を強化する「シールド(shielded)」されたアドレスです。このアドレスを使った取引では、zk-SNARKと呼ばれるゼロ知識証明技術が用いられます。zk-SNARKを用いることで、トランザクションに関わるアドレスや送金額などの情報を隠しながら、二重送金などの不正が行われていないことを証明できます。つまり、取引の詳細は秘匿されたまま、取引の有効性のみが保証されるのです。

Zcashのコインは、transparent pool（透過的なプール）またはshielded pool（シールドされたプール）のいずれかに存在します。しかし、2017年12月時点では、shielded poolにあるZcashコインは全体の約4%に留まっており、多くのウォレットプログラムやウェブウォレットがz-addrを十分にサポートしていない状況でした。

プライバシー保護と監査可能性

Zcashは、取引履歴を隠すことができる一方で、「選択的開示」オプションを提供しています。これにより、ユーザーは監査などの必要に応じて支払いを証明することが可能です。このオプションは、マネーロンダリング防止や税法遵守などの目的のために設けられています。Zcashは「トランザクションは監査可能であるが、その開示はユーザーの管理下にある」という設計思想に基づいています。

Zcashの創設者は、「違法行為を促進するための通貨を開発したのではない」と述べています。この点について説明するため、米国の法執行機関とのバーチャルミーティングが開催されています。Zcashは、プライバシー保護と透明性のバランスを取りながら、社会的な責任を果たすことを目指しています。

関連情報

関連項目
仮想通貨
Koto - Zcashの派生通貨で日本初の匿名通貨。

外部リンク
* 公式ウェブサイト

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