Zen 3

AMD Zen 3 アーキテクチャの詳細

Zen 3は、AMDが2020年に発表したCPUマイクロアーキテクチャであり、前世代のZen 2の後継として登場しました。このアーキテクチャは、Ryzenシリーズのメインストリームデスクトッププロセッサ（コードネーム「Vermeer」）や、EPYCサーバープロセッサ（コードネーム「Milan」）に採用されています。Zen 3は、AMDがDDR5メモリと新しいソケットに移行する前の最後のマイクロアーキテクチャとなる予定です。

製造プロセス

Zen 3は、TSMCの改良型7nmプロセス技術を用いて製造されています。当初、AMDはこれを「7nm+」と呼んでいましたが、実際にはTSMCの7nmプロセスの改良版であり、EUV（極端紫外線）リソグラフィー技術を用いたN7+プロセスではないことが後に明らかになりました。この改良により、消費電力の削減とトランジスタ密度の向上を実現し、同じ消費電力でより高いクロック速度を達成することが可能になりました。

EPYCサーバープロセッサ

Zen 3アーキテクチャをベースとするEPYCサーバープロセッサの製品ラインは、「Milan」というコードネームで知られています。Milanは、SP3ソケットを使用する最後の世代のプロセッサとなります。Zen 3は、サーバー市場においても高い性能を発揮し、データセンターの需要に応えています。

アーキテクチャ構成

Zen 3アーキテクチャは、1コアあたり4つのALU（算術論理演算ユニット）を搭載しています。これにより、基本的な整数演算命令を1サイクルで実行することが可能です。また、浮動小数点演算ユニット（FPU）も4つ搭載されており、数値計算の処理能力も向上しています。

マザーボードのサポート

Zen 3は、当初500シリーズチップセットを搭載したマザーボードでのみサポートされていました。しかし、AMDがコードを共有した結果、一部の400シリーズマザーボードでもBIOSアップデートを通じてZen 3のサポートが利用可能になりました。これにより、以前の世代のマザーボードユーザーも最新のZen 3プロセッサを利用できるようになり、アップグレードの柔軟性が向上しました。

まとめ

Zen 3アーキテクチャは、AMDが長年培ってきた技術の集大成であり、デスクトップPCからサーバーまで幅広い分野で高い性能を発揮します。製造プロセスの改良、アーキテクチャの最適化、そしてマザーボードのサポート拡大により、Zen 3は多くのユーザーに選ばれるプロセッサとなりました。DDR5メモリへの移行前の最後のアーキテクチャとして、その役割を十分に果たしています。

もう一度検索