Dele

小説『dele』の世界観

『dele』（ディーリー）は、本多孝好が手掛けた日本の小説とテレビドラマを融合させたメディアミックスプロジェクトです。この作品は、依頼に応じてデジタル記録を抹消する職業に従事する坂上圭司と真柴祐太郎を主人公にし、「デジタル遺品」に焦点を当てています。タイトルの「dele」は、校正用語である「削除」を意味し、現代社会におけるデジタル情報の扱いについて考察を促します。小説とドラマはキャラクターこそ共通していますが、それぞれ異なるストーリー展開となっています。

プロジェクトの背景

このプロジェクトは、作家の金城一紀とKADOKAWAによって立ち上げられ、金城は本多に映像作品の企画を依頼しました。本多も以前から構想を温めていたため、スムーズに企画が進行しました。小説が執筆される前から、主要キャストとして山田孝之と菅田将暉の起用が決定され、彼らに合わせたストーリー作りが行われました。

小説とドラマでは、坂上圭司と真柴祐太郎、坂上舞の三人は共通しているものの、登場人物や背景設定が異なります。小説は真柴祐太郎の視点から物語が展開される一方で、ドラマは坂上圭司を中心に進行し、真柴の日常は描かれません。

あらすじ

『dele.LIFE』という会社は、依頼人の死後にパソコンやスマホに残るデジタル記録の抹消を請け負っています。依頼人は事前に設定した条件に従って記録の削除が行われます。この業務を担当する坂上圭司は、車いす生活を送りながら冷静に業務を進めています。彼は依頼人のプライバシーに干渉しない方針を持っていますが、一方の真柴祐太郎は依頼人の「思い」を理解しようと奔走します。

この二人は、依頼人の人生に迫る中で数々の秘密に直面し、葛藤を経て互いの絆を深めていきます。彼らは時に矛盾した考えを抱えながらも、共通の目的に向かう中で成長する姿が描かれています。

主な登場人物

• - 坂上圭司（さかがみ けいし）: 少し偏屈でプライドが高いプログラマー。常に冷静で、高い洞察力を持つが、依頼人には冷淡な態度を取ることが多い。彼の面倒を見る真柴との関係が物語の重要な要素に。

• - 真柴祐太郎（ましば ゆうたろう）: 何でも屋として働く若者。臨機応変な行動力を持ち、依頼人の思いに寄り添おうと奮闘します。

• - 坂上舞（さかがみ まい）: 圭司の姉で弁護士。圭司の事務所と連携し、物語における重要な役割を果たします。

書誌情報とメディア展開

『dele』は2016年に短編連載として発表され、2017年には単行本として刊行されました。その後、テレビドラマの放送も行われ、多くの話題を集めました。ドラマ版は特に、山田孝之と菅田将暉のダブル主演で注目を浴び、数々の賞を受賞しました。

このプロジェクトは、単なる物語に留まらず、現代のデジタル社会における倫理や記憶の在り方についても深く掘り下げています。視聴者が感情移入し、鋭いメッセージを受け取ることができる作品です。

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