FURUSATO

ゆず『FURUSATO』：故郷を奏でる、壮大な音楽の旅

2009年10月7日、フォークデュオ・ゆずの9枚目のオリジナルアルバム『FURUSATO』（ふるさと）がリリースされました。前作『WONDERFUL WORLD』から約1年半ぶりとなる本作は、その年のゆずの活動の集大成と言える、充実した内容となっています。初回限定盤と通常盤の2形態で発売され、いずれも紙製のケースに収められています。初回限定盤はさらにデジパック仕様となっており、高い所有欲を満たす仕上がりです。アートディレクションは森本千絵氏が担当しています。

アルバム全体を彩るサウンドプロデュースは蔦谷好位置氏とゆず自身（一部楽曲を除く）が担当。特徴的なのは、短い曲が1曲もなく、インストゥルメンタル曲を除くと4分以下の楽曲が皆無である点です。逆に、短いインストゥルメンタル曲は3曲も収録されており、それらは1分以内という構成になっています。この構成は、アルバム全体に貫かれた独特の重厚感と、楽曲間の繋がりを感じさせる工夫と言えるでしょう。

特に注目すべきは、北川悠仁氏が「このアルバムの核」と語る「虹」(Album Version)です。29thシングルとしてリリースされた同曲は、アルバムバージョンではアウトロが変更され、アレンジも大幅に刷新されています。この「虹」を軸に、他の楽曲たちが有機的に繋がっており、アルバム全体のテーマをより深く理解できる構成となっています。

収録楽曲は、シングル曲のアルバムバージョンに加え、カップリング曲の「みらい」（27thシングル「逢いたい」のカップリングで、オリジナルアルバムに収録されるのは約7年半ぶり）や、10年かけて制作されたという岩沢厚治氏作曲の「二つの言葉」など、バラエティに富んでいます。「はるか」は、北川氏が2008年にアフリカを訪れた際に制作した楽曲で、その印税はワンダフルワールド基金の活動に寄付されました。また、「スーパーマン」は日本テレビ系列番組のテーマソングとして使用されました。さらに、アルバムの中で浮いてしまったため録り直したという「Yesterday and Tomorrow」など、制作秘話も興味深い楽曲が多く含まれています。

参加ミュージシャンも豪華です。Mr.Childrenの鈴木英哉氏（ドラムス）や、様々なアーティストとの共演で知られる寺岡呼人氏、武部聡志氏などが参加し、ゆずの音楽をさらに豊かなものへと昇華させています。楽曲ごとに異なるアレンジ、そして、多彩なミュージシャンたちの演奏によって、アルバム全体に奥行きと広がりを与えています。

『FURUSATO』は、オリコン週間ランキングで初登場1位を獲得し、前作を上回る初動セールスを記録しました。その高い人気は、ゆずの音楽性と、アルバム全体の完成度の高さを証明するものです。単なる楽曲の集積ではなく、一貫したテーマと、緻密な構成によって、聴く者を故郷へ、そして未来へと誘う、壮大な音楽の旅と言えるでしょう。まさに、ゆずの集大成であり、彼らの代表作のひとつと言えるアルバムです。

収録曲

1. Overture 〜FURUSATO〜
2. 虹 (Album Version)
3. 逢いたい
4. 二つの言葉
5. Interlude 〜フルーツ☆パラダイス〜
6. いちご
7. スーパーマン
8. はるか
9. Yesterday and Tomorrow
10. シシカバブー
11. レストラン
12. ゼンマイ
13. Interlude 〜はるかな旅路〜
14. みらい

参加ミュージシャン (一部抜粋)

北川悠仁 (ゆず)
岩沢厚治 (ゆず)
蔦谷好位置 (agehasprings)
弦一徹ストリングス
鈴木英哉 (Mr.Children)
寺岡呼人
武部聡志
そしてその他多数

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