Gazer

アルバム『gazer』概要

『gazer』（ゲイザー）は、吉田美奈子の12枚目のスタジオ・アルバムで、1990年10月25日に発売されました。本作は、前作『DARK CRYSTAL』から約1年半の期間を経てリリースされましたが、実際には前作が完成したのは1988年の10月だったため、真に制作間隔は1年以上ありました。

制作背景

吉田美奈子は、アルバム制作における自身の変遷を語っています。彼女は「数年間、公式にはアルバムをリリースしていなかった」と振り返り、前作の『ベルズ』が内向的なアルバムであったことを指摘しました。その一方で、『ダーク・クリスタル』は「粗っぽい部分を外に向けて表現した作品」であり、神がかり的に制作されたと説明しています。

『gazer』の制作は、最初に予定した方針とは異なる経緯をたどりました。吉田は「次に制作するのは少し柔らかい作品にしたいと思っていた」と述べ、ニューヨークでの制作を計画したものの、ストライキや事故の影響で思うように進まなかったといいます。アレンジャーを雇った際には、デモ・テープが生楽器で再現される形になり、期待外れな結果になったことから、「これは私のやりたいことではない」と考え、最終的に制作を中止して日本でプログラムを行うことにしました。

アルバムの特徴

このアルバムには、重厚なサウンドを持つタイトル曲「GAZER」や、柔らかい感触の楽曲が収録されています。吉田は、「制作過程において常に試行錯誤があり、どうかなと思う部分もあったが、今はそれを意識せずに自然に作れている」と利用していることに触れました。

ボーカルスタイルについては、「前作は地声を使用していたが、今回は高い声で始まり、最終的には地声への移行がある」と説明しました。音楽制作における機械の利用については、特別な意識を持たず、「作っている時はたまたま機械を使用していたが、自分が決めた音が出るメリットは認識している」とのことです。

収録曲とビジュアル

アルバムには以下の楽曲が収められています：

• - WARNING
• - GAZER
• - 友達
• - STARLET
• - 愛してる?
• - SILENCER
• - 時間をみつめて
• - 午後の恋人
• - CORONA

さらに、オリジナル盤には一曲ごとに異なるデザインの歌詞カードとポートレート、スタッフクレジットなどが印刷された透明なプラスティックシートが封入されており、特に独自の体験を提供しました。後にこのアルバムはジャケットとブックレットが改訂されて再発され、限定版のBOXセット『吉田箱』の一部としても再登場しています。

影響と評価

吉田美奈子は、『gazer』がロック系のファンにも受け入れられた作品であり、特にBUCK-TICKなどのミュージシャンたちと新しい友人関係を築くきっかけになったと回想しています。このアルバムは新しい音楽の世界を模索する吉田にとって重要な作品となりました。

もう一度検索