IAd

iAd (アイアド) とは

iAdは、Appleが開発・運営していたモバイル広告プラットフォームで、iPhone、iPod touch、iPadなどのiOSデバイスに対応していました。2010年にサービスを開始し、2016年6月30日をもって終了しました。

概要

iAdは、iOSに組み込まれたアドネットワークとして機能し、サードパーティの開発者が自身のアプリケーションに広告を直接統合できる仕組みでした。Apple自身が運営・販売することで、GoogleのAdMobのような競合サービスとの競争が期待されていました。iAdの特徴は、アプリ内に全画面広告を表示する形式で、ユーザーは広告を閉じればすぐにアプリに戻れるインタラクティブな体験を提供することでした。これにより、他の広告サービスよりもユーザー体験を損なわない広告表示を目指していました。

当初、Appleは広告収入の40%を徴収し、残りの60%を開発者に分配するとしていましたが、後に開発者の取り分を70%に引き上げました。この変更は、無料アプリの収益化を促進する狙いがありました。

評価

iAdは、市場での競争において苦戦を強いられました。アメリカのモバイル広告市場におけるシェアは、Googleやミレニアルメディアに大きく水をあけられ、2011年には3位にとどまりました。また、マーケターからの反応も芳しくなく、その成長は伸び悩みました。

歴史

2010年
3月：モバイル広告企業のクアトロワイヤレスを買収し、iAdの基盤を築きました。
4月8日：iOS 4の一部として、iAdのリリースを6月21日に行うと発表しました。
6月7日：WWDC2010にて、リリース延期とiPadへの対応が秋になると発表されました。
7月1日：iOS 4.0で、iPhoneとiPod向けにiAdを開始しました。
11月：iOS 4.2(.1)でiPadへの対応を開始し、映画「トロン: レガシー」の宣伝が最初の広告となりました。
12月：イギリスとフランスでもサービスを開始しました。

2011年
1月：ドイツでもサービスを開始しました。
2月：小口の広告主を獲得するため、広告契約最低額を50万ドルに値下げしました。
7月8日：競合に流れた大手広告主を取り戻すため、契約最低額を30万ドルに値下げしました。
8月：日本で「iAd for Brands」を開始し、最初の広告主はトヨタ自動車でした。

2012年
1月18日：日本で「iAd for Developers」を開始しました。
2月：Googleとの競争激化により、契約最低額を10万ドルに値下げし、Apple向けモバイル広告の開発者の広告収入取り分が70%になりました。

2016年
* 1月15日：2016年6月30日をもってiAd事業から撤退することを発表しました。

結論

iAdは、Appleがモバイル広告市場に参入した際の重要な試みでした。ユーザー体験を重視した広告形式や、開発者への高い収益分配など、革新的な側面も持ち合わせていましたが、競合との競争に打ち勝つことができず、サービス終了に至りました。しかし、iAdの経験は、その後のモバイル広告市場の発展に大きな影響を与えました。

脚注

Apple - 広告（公式サイト）
iAd (日本語) - Apple Developer（デベロッパー向け日本語サイト）

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