あっせん

あっせん（斡旋）とは

あっせんは、主に労働分野において用いられる裁判外紛争解決の方法の一つです。このプロセスは、公的な紛争解決機関を通じて行われ、労働者と使用者（企業）の間の意見の相違を解消し、円満な解決を目指すことを目的としています。あっせんは、企業と労働者（正社員、非正規社員を含む）との間で発生する様々な労働条件に関連する問題、例えば賃金、解雇、配置転換などの争いを解決するために活用されます。

あっせんの手続きと利点

あっせんの最大の魅力は、その手続きが非常に簡便で迅速である点です。通常、あっせんは、関係当事者が出席した当日に解決を図ることが可能であり、手続きにかかる費用は無料となっています。これは、裁判とは異なり、当事者同士が直接顔を合わせることなく、解決に向けた対話を進められるため、心理的な負担も軽減されます。

過去には「斡旋」と書かれていましたが、「斡」の漢字が常用漢字ではないため、現在では「あっせん」として表記されています。法律的な根拠は、労働関係調整法や個別労働関係紛争解決の促進に関する法律に基づいています。

集団労働紛争と個別労働紛争

あっせんは、集団労働紛争や個別労働紛争のいずれにも利用されます。集団労働紛争については、労働関係調整法に定められたもので、労働委員会が関与し、あっせん員が指名される仕組みです。あっせん員は、労働問題に関して豊富な経験と理解を有し、労働関係に信頼される存在である必要があります。なお、あっせん員の指名は、当事者の合意に基づいて行われます。

一方、個別労働紛争については、2006年から施行された個別労働関係紛争の解決を促進する法律の下で、紛争調整委員会があっせんを行います。ここでのポイントは、労働者の募集・採用に関する問題や特定の法律に規定された紛争はあっせんの対象外とされていることです。

あっせんの進行と合意形成

あっせんは、当事者の自主的な合意に基づくものであり、強制力はありません。したがって、当事者が出席できない場合は代理人の出席や意見書の提出が認められています。また、あっせん案は、双方の意見を踏まえた解決案として提示されますが、その受諾は当事者の判断に委ねられます。万が一、合意が得られない場合や、あっせん員が解決の見込みがないと判断した場合は、あっせん手続きは終了します。

あっせんの重要性とまとめ

あっせんは、労働紛争の解決を促進するための重要な手段であり、その特徴は迅速性と無償であること、さらには、当事者間の対話を重視する点にあります。労働者も企業も、相互に意見を尊重し合いながら、円満な解決策を見出すための有効な手段であるといえます。あっせんの利用を通じて、労働環境の改善や労使関係の円滑化が図られることが期待されています。

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