あまから手帖

概要

「あまから手帖」（あまからてちょう）は、関西地方に焦点を当てた月刊のグルメ専門雑誌です。大阪ガスと毎日放送が出資する合弁会社、クリエテ関西から発行されています。単に数多くの飲食店を紹介するだけでなく、関西独自の豊かな食文化を深く掘り下げ、その発展を牽引するオピニオンリーダー的な存在として、多くの読者から支持されています。また、雑誌に掲載された記事を再編集した単行本も多数刊行しており、多角的に食に関する情報を発信しています。

独自の編集方針

本誌の最も特筆すべき点であり、長年にわたり読者からの厚い信頼を築き上げてきた基盤となっているのが、その徹底した編集方針です。それは、「実際に編集部員やライターが自らの足で店舗を訪れ、料理を試食した上でなければ記事にしない」という、「実食主義」を創刊以来一貫して守り続けていることです。現在も、約30名体制の編集者やフリーライターが、通常の客として匿名で店舗を訪問し、料理の味はもちろんのこと、サービスの質や店の雰囲気まで、細部にわたって厳しく評価します。そして、そこで掲載する価値があると判断された店舗に対してのみ、改めて正式な取材を申し込むという、二段階の手順を踏んでいます。多くのグルメ情報媒体が、必ずしも全ての情報を実地で確認しているわけではないと言われる中で、こうした地道かつ誠実な取材プロセスは極めて高く評価されており、これが揺るぎない信頼関係を育む要因となっています。

歴史

「あまから手帖」の歴史は1984年11月号の創刊に始まります。当初の発行元は京阪神エルマガジン社でした。しかし、翌1985年7月号を最後に一度休刊します。同年12月号からは「あまから手帖社」を発行元として復刊を果たしました。

その後、1995年には阪神・淡路大震災の影響を受け、3月号を最後に再び休刊を余儀なくされます。同年6・7月合併号として震災からの復興を願う「がんばれ神戸大特集号」を発行した後、再度休刊期間に入りました。現在の発行元であるクリエテ関西からの復刊は、1996年8月号からです。この復刊号は15万部という高い発行部数を記録しました。その後、発行部数は時代の変化と共に変動しつつも、関西の食情報誌としての地位を確立し続けます。2009年には創刊25周年を迎え、その時点での発行部数は約10万部でした。そして、2019年には創刊35周年を迎えるなど、長きにわたる歴史を刻んでいます。

組織・関連情報

現在の本誌の編集長は中本由美子氏、編集顧問は門上武司氏が務めています。また、本誌は毎日放送（MBSテレビ）が制作するグルメ関連のテレビ番組にも協力しています。過去には「あまからアベニュー」、現在は「水野真紀の魔法のレストラン」シリーズなど、メディアミックスによる情報発信も積極的に行っています。公式ウェブサイトも開設されており、読者は誌面だけでなくオンラインでも情報を得ることが可能です。

まとめ

「あまから手帖」は、その類まれなる「実食主義」に基づいた信頼性の高い情報と、関西の食文化に対する深い洞察力によって、創刊以来40年近くにわたり多くの読者から支持され続けている、関西を代表するグルメ専門誌です。その独自の編集姿勢は、数あるグルメ情報媒体の中でも特に高い評価を受けています。

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