いきなり団子

いきなり団子

いきなり団子は、熊本県で愛されている郷土料理、そして郷土菓子です。地元では「いきなりだご」とも呼ばれています。

概要

主な材料は、輪切りにしたサツマイモと、小麦粉やだんご粉、塩などを混ぜて作った生地です。この生地でサツマイモを包み、蒸して作ります。昭和時代頃からは、サツマイモと一緒に小豆[[餡]]を包むスタイルが主流となり、現在ではこちらの方が一般的です。

熊本県の大津地域や菊池平野、熊本平野などの農家では、サツマイモの収穫時期に手作りのおやつとして食べられてきました。家庭でも昔から作られてきたという、菓子としては珍しい歴史を持っています。

近年では、保存技術の進歩により、真空パックや冷凍[[食品]]としても販売されるようになりました。本来は出来立てを食べるのが一番ですが、冷凍したものを半解凍で食べる「冷やしいきなり団子」も人気を集めています。

名前の由来

「いきなり」という言葉は、熊本弁で「簡単・手早く・すぐに」という意味を持ちます。この団子が短時間で手軽に作れ、急な来客にもすぐに提供できることから、この名前が付いたと言われています。また、「いきなり」という言葉には、サツマイモをいきなり生地で包んで蒸すという、作り方の手軽さを表す意味も込められていると考えられます。

別の説として、熊本の一部地域では片付けが苦手な人を「いきなりな人」と呼ぶことから、「いきなり」には「ざっとしている」という意味合いがあり、ざっと作れる団子であることから名付けられたという説も存在します。

類似の菓子

福岡県の筑後地方には、いきなり団子と非常によく似た「いきなり饅頭」というお菓子があります。特に熊本県に隣接する大牟田市などでは、お土産物として親しまれています。また、福島県には「あだたらのいも小町」という、いきなり団子と似たお菓子があり、中にはつぶ餡が入っています。

1996年には、サツマイモの産地として知られる川越市の菓子店が、いきなり団子に似た「いも恋」という商品を販売しました。こちらも輪切りのサツマイモにあんこを乗せ、山芋ともち粉入りの生地で包んで蒸したものです。

いきなり団子が登場する作品

『ケロロ軍曹』: 九州出身の漫画家、吉崎観音さんの作品。主人公であるケロロ軍曹の好物として、作中に度々登場します。
『つばき、時跳び』: 熊本市出身の小説家、梶尾真治さんのタイムトラベル・ロマンス小説。いきなり団子の製法を広めたのは、実は平成から幕末時代にタイムトラベルした主人公だったという設定で、物語の重要な場面に登場します。
『リアル』: 鹿児島県出身の漫画家、井上雄彦さんの作品。作中の登場人物、野宮朋美が母親からの旅行土産としていきなり団子を人に配るシーンがあります。
『劇場版 弱虫ペダル』: 「熊本 火の国やまなみレース」の初日、レース前にヒロ君の彼女がいきなり団子を食べているシーンがあります。また、箱根学園のクライマー、東堂尽八が「巻ちゃんといきなりだんご食べたかった」と残念がる場面も描かれています。

関連項目

日本の郷土料理一覧
鬼饅頭: 小麦粉とサツマイモを主な材料とし、同様の調理法で作られる東海地方の菓子。ただし、小豆[[餡]]は入っていません。
スザンヌ: 熊本県出身のタレント。テレビ番組などでいきなり団子を紹介し、その知名度向上に貢献しました。

外部リンク

あなたはどのいきなり団子？ - 熊本市観光ガイド

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