おにいさまへ…

おにいさまへ…

『おにいさまへ…』は、池田理代子による日本の漫画作品であり、1974年に『週刊マーガレット』で連載されました。名門女子校を舞台に、少女たちの複雑な感情、友情、そして愛憎が描かれた作品です。1991年にはテレビアニメ化もされ、幅広い世代に支持されています。

あらすじ

主人公の御苑生奈々子は、高校受験を控えた中学3年生。進学教室でアルバイトをする大学生・辺見武彦に「おにいさまになってください」と手紙を書き、文通を始めます。奈々子は、入学した名門女子校・青蘭学園での生活を「おにいさま」への手紙に綴っていきます。

青蘭学園には、選ばれた生徒のみが入会できる社交クラブ「ソロリティ」が存在します。奈々子は、クラスメイトの信夫マリ子と共に、なぜかソロリティのメンバーに選ばれます。しかし、ソロリティに入ったことで、周囲からの嫉妬や噂に苦しむことに。そんな中、奈々子は「薫の君」こと折原薫や「サン・ジュストさま」こと朝霞れいに救われます。ソロリティ会長の一の宮蕗子も、奈々子を何かとかばいます。やがて奈々子は、れいの孤独な境遇を知り、強く惹かれていきます。

マリ子は、父親の女性スキャンダルをからかわれたことでクラスメイトをナイフで切りつけ、停学処分となります。蕗子はマリ子のソロリティ除名処分を決定しますが、ソロリティの特権主義に疑問を抱いていた奈々子も、ソロリティを辞めます。その後、薫がソロリティ廃止を提案し、れいと共に署名活動を始めます。署名が集まり、ソロリティメンバーからも離反者が出始めます。蕗子に罵倒されたれいは、奈々子に蕗子との出生の秘密を明かした後、睡眠薬自殺を図ります。その後、蕗子は自らソロリティ解散を申し出ます。

奈々子は、文通していた武彦が自分の義兄であることを知ります。秋になり、停学が解けたマリ子が登校してきます。薫は元恋人の武彦にプロポーズされ、18歳で結婚し、武彦と共にドイツへ渡ります。しかし2年後、奈々子は薫の訃報を受け取ります。

登場人物

御苑生奈々子（みそのお ななこ）
主人公。青蘭学園高等部1年生。武彦を「おにいさま」と呼び、文通をしています。ソロリティに入会したことで、様々な出来事に巻き込まれていきます。
信夫マリ子（しのぶ マリこ）
奈々子のクラスメイト。ソロリティメンバー。父親がポルノ作家であることにコンプレックスを抱いています。奈々子に異常な執着を見せます。
一の宮蕗子（いちのみや ふきこ）
青蘭学園高等部3年生。生徒会長でソロリティの会長。学園理事長の娘。奈々子をソロリティに引き入れますが、その裏にはある目的がありました。
朝霞れい（あさか れい）
青蘭学園高等部2年生。「花のサン・ジュストさま」と呼ばれる美少女。孤独な境遇にあり、心に深い傷を抱えています。
折原薫（おりはら かおる）
奈々子のクラスメイト。「薫の君」と呼ばれる。ボーイッシュな雰囲気で、誰からも好かれる存在。実は癌を患っています。
辺見武彦（へんみ たけひこ）
奈々子の「おにいさま」。実は奈々子の義兄。薫の元恋人。

テレビアニメ

1991年に手塚プロダクション制作でテレビアニメ化されました。NHK-BS2で放送され、全39話。

テーマ

『おにいさまへ…』は、少女たちの友情、愛、嫉妬、そして成長を描いた作品です。また、当時の社会問題を背景に、格差や差別といったテーマも描かれています。少女たちの繊細な感情と人間関係、そして衝撃的な結末は、多くの読者の心を掴みました。

その他

本作は、百合作品としても知られています。少女たちの同性愛的な感情や関係性が描かれており、多くのファンを魅了しています。

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