カイくん

カイくん：愛されしCM犬の軌跡

2003年10月10日生まれの北海道犬、カイくん（本名：坂本カイ）。2018年6月28日、14歳（犬年齢で約70歳）で永眠しました。その短い生涯は、数々のCMやドラマ出演、そして人々の心を掴む感動的な物語でした。

北海道から全国へ

北海道勇払郡むかわ町出身のカイくんは、幼少期を穏やかに過ごしました。名前の由来は北海道の「海」。ソーセージや鮭、キュウリ、唐揚げが好物だったそうです。妹のネネ、弟のポロ、そして息子であるカイトくんとカイキくんと、賑やかな家族に囲まれて育ちました。

デビューからブレイクまで

芸能界デビューは2003年、映画『ウルトラマンコスモスVSウルトラマンジャスティス THE FINAL BATTLE』でした。その後、『天花』『里見八犬伝』などのドラマにも出演し、着実にキャリアを積んでいきます。しかし、カイくんを真に有名にしたのは、2007年から出演を開始したSoftBankのCM『白戸家の人々』でした。

白戸次郎という、人間から犬の姿に変身してしまった父親役を演じたカイくん。その愛くるしい姿と、時折見せるコミカルな演技は、瞬く間に人々の心を掴みました。「お父さん」「白いお父さん」「お父さん犬」など、様々な愛称で親しまれ、CM総合研究所の2007年度CMタレント好感度調査ではキャラクター部門で1位を獲得するほどの人気ぶりでした。

撮影では、演技の得意不得意に応じて妹のネネと交代することもありました。お父さんの声を担当していたのは北大路欣也さん。その事実が事前に発表されていたにも関わらず、視聴者からは誰の声なのか多くの憶測が飛び交ったそうです。

CMの成功は、カイくんを主演としたイメージビデオのDVD発売にも繋がりました。人気は留まるところを知らず、2009年には福岡ソフトバンクホークスの応援隊長に就任。背番号は「お父さん」をもじった0103番が与えられ、当時監督だった秋山幸二氏からユニフォームを授与されました。

家族と仲間たち

2009年には、北海道犬保存会鵡川支部長所有の北海道犬との「見合い結婚」という話題も提供。2010年には、2匹のパートナーとの間に計5匹の子犬を授かりました。そのうち2匹の「そら君」と「ゆめちゃん」は、『キャッツ&ドッグス 地球最大の肉球大戦争』の試写会にカイくんと共に参加するなど、メディアにも露出しました。子犬たちは、後のCM出演にも繋がっていきます。

カイくんの子犬は、佐々木希さんが出演するピエトロドレッシングのCMにも起用されたと、テレビ東京系『広告の番組』で仲畑貴志氏がコメントしていました。

引退と永眠

2014年、老齢により芸能活動を引退。後を継いだのは息子の海斗でした。引退後も、約120匹の仲間たちと穏やかな日々を過ごしていましたが、亡くなる数日前から体調を崩し、2018年6月28日未明、老衰のため息を引き取りました。

カイくんの死は、多くのファンに深い悲しみをもたらしました。その功績を称え、追悼展示「カイくんありがとう展」が開催されるなど、人々の記憶に深く刻まれています。

カイくんの足跡

カイくんの活躍は、CMだけにとどまりません。様々なテレビドラマや映画に出演し、更には書籍も出版されています。その功績は、2018年の北海道150年キックオフ特別イベント・キタデミー賞 助演男優賞受賞という形で称えられました。

カイくんは、その愛くるしい姿と、誠実な演技で、多くの人の心に残る存在となりました。彼の功績は、これからも語り継がれていくことでしょう。

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