かみぱに!

『かみぱに!』：瀬戸内海の田舎町で紡がれる青春と恋愛の物語

2008年3月28日、ゲームブランド・クロシェットから発売された18禁恋愛アドベンチャーゲーム『かみぱに!』。本作は、クロシェットの記念すべき第一作目であり、イラストレーターしんたろー氏（『ボーイミーツガール』など）が手掛けたキャラクターデザインも相まって、大きな注目を集めました。

当初は『かみさまくるくるぱにっく!』というタイトルで、2007年12月21日の発売を予定していましたが、制作過程においてゲームのボリュームが当初の想定を大きく上回ったこと、そして開発チームがグラフィッククオリティへの強いこだわりを持っていたことから、2度の延期を経て2008年3月28日に発売日を迎えました。クロシェット代表は公式ホームページ上で延期について謝罪するとともに、グラフィック面での妥協は許されないという強い意志を表明しています。このエピソードからも、開発陣の『かみぱに!』にかける情熱の高さがうかがえます。

2009年1月30日には通常版が、クロシェットの第二作『スズノネセブン!』と同時発売されました。さらに、モバイルゲーム市場への進出も果たし、2012年8月27日からはGREEでAbyss Gateによる全年齢向けソーシャルゲーム、2013年4月9日からはにじよめでエイシスによる18禁向けソーシャルゲームが配信開始されました。

物語の舞台とあらすじ

物語の舞台は、瀬戸内海に面した静かな田舎町・天水町（あまみちょう）。主人公・香原智之（かはらともゆき）は、高齢の祖母が東京の両親と同居することになったため、祖母の家を継ぐかたちで天水町での一人暮らしを始めることになります。天水町は、智之が幼い頃から夏冬の休暇に遊びに来ていた思い出の地です。

隣には幼馴染の片瀬恵（かたせめぐみ）、以前から連絡を取り合っていた生徒会長の九条天音（くじょうあまね）がおり、さらに神社の巫女である霧島乃々香（きりしまののか）、そして智之の妹・香原瑞希（かはらみずき）も天水町にやってきます。穏やかな学園生活が幕を開けるかと思われた矢先、突如として「神」を名乗る少女・天泉森雨古依命（あまいずみもりあめこよりのみこと、通称：古依（こより））が智之の家に現れ、物語は思わぬ展開へと進んでいきます。

個性豊かなキャラクターたち

主人公の智之は、自由気ままな性格でややお調子者ですが、根は優しく頑張り屋。恋愛に関しては少し鈍感な一面も持ち合わせています。

メインヒロインである恵は、智之の幼馴染で、成績優秀、スポーツ万能とまさに完璧な少女。優しく素直な性格ですが、正論を押し付けられると弱気な面も。智之に対しては密かに淡い恋心を抱いています。

智之の妹である瑞希は、兄の世話を兼ねて天水町にやってきます。智之とは喧嘩ばかりしていますが、実は兄のことを深く愛するツンデレ気質。

天音は生徒会長として責任感の強い一面を持つ一方、お祭り好きな明るい性格も持ち合わせています。乃々香は御劔神社の巫女で、優しくおっとりとした性格ですが、天然ボケな一面も。

その他にも、学園の風紀委員長・道満寺ヒカル（どうまんじひかる）、洋食レストラン「アカボシ」の女店長・北里愛梨（きたざとあいり）、そして智之の祖母が飼っていた喋る犬・イチローなど、個性豊かなキャラクターたちが物語を彩ります。

ゲームシステムと関連商品

ゲームシステムは、最初に瑞希、天音、乃々香の3人のルートから攻略を開始し、その後恵、そして最後に古依のルートと進みます。各ヒロインのルートは一本道ですが、乃々香のルートには選択肢が用意されています。

『かみぱに!』は、ゲーム本編以外にも、オリジナルサウンドトラック、小説、ビジュアルファンブックなどの関連商品が多数発売されました。また、各販売店での予約キャンペーンや購入特典も充実しており、コレクター心をくすぐるアイテムも数多く存在します。

『かみぱに!』は、魅力的なキャラクター、そして田舎町を舞台にした青春群像劇と、多くの要素が詰まった作品となっています。18禁恋愛アドベンチャーゲームという枠を超え、多くのファンを魅了した作品として、現在でも高い人気を誇っています。

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