それでも愛を誓いますか?

結婚8年目を迎えた純須純は、専業主婦として生活を送っています。夫の武頼とは仲睦まじく過ごしていますが、5年前からセックスレスの状態が続き、子供にも恵まれません。純は子供を望んでいますが、武頼は過去のトラウマからそのことに対して消極的な態度を示し、純は理想と現実のギャップに苦悩する日々を送っていました。

そんなある日、純は鬱屈とした日常を変えるため、ノベルティグッズメーカーのヒカリノラボに契約社員として就職します。そこで出会ったのが、10歳年下の真山篤郎でした。真山の素直で明るい性格に惹かれ、純は少しずつ心を開いていきます。

一方、武頼は高校時代の同窓会で、元恋人の足立沙織と再会します。沙織はシングルマザーとして息子と暮らしており、武頼とは高校時代に2ヶ月間交際していた過去があります。同窓会をきっかけに、沙織と武頼は再び頻繁に会うようになり、純の心はさらに複雑になっていきます。

純の再就職先では、真山との距離が縮まり、純は彼への好意を抱き始めます。しかし、武頼との関係、そして真山との微妙な関係性の狭間で、純は揺れ動き葛藤を深めていきます。

この物語は、結婚生活におけるセックスレスや不妊、そして現代社会における女性の生き方、キャリア、人間関係など、多くの問題をリアルに描いています。登場人物それぞれが抱える悩みや葛藤は、読者自身の経験と重なる部分も多く、共感を得やすい点も作品の魅力と言えるでしょう。

作者の萩原ケイクは、20代女性や子供を持つ専業主婦をターゲットに作品を描き始めました。「純と同じ30代女性で、何かに悩んでいる女性」に共感してもらえるよう、細部まで丁寧に描写されています。

真山篤郎というキャラクターは、作者が「人気が出てほしい」という願いを込めて登場させた人物で、読者からの高い人気を獲得しました。作者自身は、真山を創作する際に、「日常生活でマスクをしている20代前半の男性たち」を参考にしていることを明かしています。

また、萩原は各エピソードを「神回だと思ってもらえるように」と意識して制作に臨み、センシティブな内容についても、読者に傷を与えないよう細心の注意を払いながら表現方法に工夫を凝らしました。担当編集者と綿密に連携を取りながら、繊細な描写で物語を紡いでいます。

フリーライターの若林理央は、本作を「リアルとときめきを描いた漫画」と評し、その繊細なタッチで展開される物語は、「電子コミックと言えば過激な描写が多いもの」という先入観を覆す作品だと高く評価しています。さらに、女性たちの新しいバイブルとしての価値も認めています。

2021年には、本作はテレビドラマ化され、松本まりか、池内博之、酒井若菜ら豪華キャストが出演しました。ドラマ版では、漫画の持つ繊細な感情表現と、リアルな社会問題への切り込みが、より多くの視聴者の共感を呼びました。

『それでも愛を誓いますか？』は、単なる恋愛漫画にとどまらず、現代社会における夫婦関係や女性の生き方、そして人間関係の複雑さを多角的に描いた、深く心に響く作品です。 漫画版、ドラマ版ともに、多くの読者・視聴者から支持を集め、大きな話題を呼びました。 全8巻で完結した漫画は、双葉社からジュールコミックスとして出版され、電子書籍版も好評です。

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