でんぱ

でんぱ（第2号科学衛星REXS）

でんぱは、東京大学宇宙航空研究所（その後の文部省宇宙科学研究所）によって開発された電離層・磁気圏観測衛星であり、その正式名称はREXS（Radio EXploration Satellite）です。この衛星は日本電気が設計と製造を担い、1972年に打ち上げられました。

目的

この衛星の主な目的は、地球の電離層および磁気圏内の放射線帯を観測することでした。さらに、太陽電波の観測も同時に実施されることが計画されていました。これにより、宇宙環境の理解が深まることが期待されていました。

打ち上げと運用

1972年8月19日、でんぱは鹿児島宇宙空間観測所からM-4Sロケット4号機によって打ち上げられ、約11時40分（JST）に軌道に投入されました。この衛星は近地点240km、遠地点6,570km、軌道傾斜角31°の軌道に位置していました。

M-4Sロケットは無誘導で運用されていましたが、打ち上げの際、全ての人工衛星を近地点700km、遠地点2500km〜4500kmの範囲に投入するように設計されていました。このようにすることで、風の影響を受けても成功確率は95%を超えるとされていました。

でんぱの目標となる軌道は近地点710km、遠地点2657km、傾斜角31.2°でしたが、実際にはデータ伝送される軌道がこの目標から大きく乖離してしまいました。この原因は、ランチャーの上下角設定において表示角と実際の角度に約2度のズレがあったため、風流に起因するものではありませんでした。

打ち上げから3日後の8月22日、一部の観測機器用の高圧電源を投入した際、テレメトリエンコーダが損傷し、その結果、衛星からの正常なデータが送信不可能となってしまいました。復旧措置が取られたものの、観測は行えないことが判明し、運用は打ち切られました。故障の原因は、高圧電源の投入によってICやトランジスタが破損したことと考えられています。

1980年5月19日、でんぱは大気圏に突入し燃え尽き、消滅しました。

成果

でんぱが故障するまでの約70時間にわたって行われた観測には、一定の科学的成果が得られました。また、近地点が非常に低い軌道にあったため、故障後も半年間にわたり衛星からビーコン電波が送信され続けました。これにより、衛星の軌道変化を測定し、高層大気の大気密度に関する資料の収集が実現しました。

外部リンク

• - 人工衛星・でんぱ - ウェイバックマシン（2012年5月13日アーカイブ分）
• - でんぱ (REXS) - ISAS/JAXA

このように、でんぱは短命であったものの、宇宙科学に寄与した重要な衛星であったことは間違いありません。

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