ながら運転

ながら運転とは

「ながら運転」とは、運転中にスマートフォンを操作したり、通話したりするなど、運転以外の行為に気を取られた状態で車両を運転する行為を指します。英語では「distracted driving」と呼ばれ、運転に集中していない状態を表します。

なぜ「ながら運転」は危険なのか

運転中に意識が散漫になると、交通事故のリスクが著しく高まります。特に、注意が運転から逸れることで、事故発生時の対応が遅れ、重大な事故につながる可能性が高まります。信号待ち中にスマートフォンに気を取られ、青信号に気づかず急発進して事故を起こす事例もあります。さらに、以下のような行為は特に危険とされています。

- 通話：スマートフォンや携帯電話での通話は、手持ちだけでなくハンズフリーであっても、注意力が散漫になり、反応時間が遅れることが研究で示されています。
- 通信：スマートフォンの画面を注視したり、操作したりする行為は、視覚的な注意を大きく奪います。
- カーナビゲーションの操作：画面を注視したり、操作したりする行為も、運転への集中を妨げます。
- オーディオやエアコンの操作：これらの操作も運転への注意を散漫にする要因となります。
- 飲食、喫煙：飲食や喫煙も、片手運転になり、注意力が散漫になります。
- 化粧：化粧に気を取られると、前方の注意が疎かになります。
- 会話：同乗者との会話も、運転への注意を分散させる可能性があります。
- その他：車外の景色など、運転とは直接関係ないものに気を取られることも危険です。

喫煙の危険性

喫煙は、タバコに火をつけたり、消したりする際に脇見運転となりやすく、非常に危険です。東北大学の研究グループの調査では、喫煙者は非喫煙者よりも交通事故で死亡する危険性が1.54倍高いことが示されています。運転中の喫煙は、交通事故に繋がりやすい行為であり、規制が検討されるべきとされています。

各国の統計と規制

「ながら運転」は世界中で問題視されており、多くの国で規制が行われています。

台湾

台湾では、自動車やオートバイの運転中の喫煙も禁止されており、罰金刑の対象となっています。

日本

日本の警察庁の調べによると、携帯電話等の使用が原因で発生した交通事故は2016年には1,999件にのぼり、そのうち27件は死亡事故でした。2018年には、スマートフォンアプリを見ながら運転していたことによる死亡事故で、求刑を上回る量刑が言い渡されました。

道路交通法

道路交通法では、走行中の携帯電話の使用を禁止しています（緊急時を除く）。

- 携帯電話使用等（交通の危険）：携帯電話や画像表示装置の使用により、道路における交通の危険を生じさせた場合、違反となります。
- 携帯電話使用等（保持）：携帯電話や画像表示装置を手で保持して使用した場合も違反となります。

罰則は、違反点数や反則金に加え、懲役や罰金が科せられる場合もあります。

2019年12月1日には罰則が強化され、携帯電話使用等（保持）では違反点数3点、反則金が普通車1万8千円、携帯電話使用等（交通の危険）では違反点数6点、刑事罰が科せられるようになりました。

その他の道路交通法違反

都道府県公安委員会規則では、ハンズフリー機器やイヤホンマイクの使用、二輪車や自転車での携帯電話使用、傘さし運転なども違反となる場合があります。

オーストラリア

オーストラリアでは、AIを搭載した「ながら運転」取締装置が導入され、運転手のスマートフォン使用を自動で検出し、撮影しています。違反者には罰金と減点が科せられます。

まとめ

「ながら運転」は、重大な交通事故を引き起こす可能性のある非常に危険な行為です。運転中は、運転に集中し、スマートフォンやその他の気を散らすものを極力使わないように心がけましょう。安全運転を心がけ、交通事故のない社会を目指しましょう。

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