なら国際映画祭

なら国際映画祭 (Nara International Film Festival)

概要

なら国際映画祭（NIFF）は、日本の奈良県奈良市で、映画文化の振興を目指して隔年で開かれる映画祭です。この映画祭の設立は、映画作家の河瀬直美氏が第60回カンヌ国際映画祭で奈良を舞台にした映画『殯の森』でグランプリを受賞したことに端を発します。地元奈良への感謝の気持ちを込めて、映画祭を通じてふるさとを活性化したいという思いから、賛同者が集まり、NPO法人なら国際映画祭実行委員会が設立されました。地域の企業や公的助成金、個人の寄付などを受けて2010年に第1回目が開催されました。

コンペティション

映画祭では、新人監督の作品を対象とした「新人コンペティション部門」や学生作品を紹介する「NARA-wave学生映画コンペティション部門」が設けられています。新人コンペティション部門では、長編映画の監督としての初作品または第2作品までが対象となり、日本初上映が条件です。この部門では、金の鹿賞（The Golden SHIKA Award）が一作品に授与され、その副賞として受賞監督には次回のNARAtiveプロジェクトの制作権が与えられます。

NARA-wave学生映画コンペティション部門では、学生による長編・短編も含むあらゆる作品が展開され、金の小鹿賞（The Golden KOJIKA Award）が授与されます。これらのコンペティションを通じて、新しい才能を発信する場が提供されています。

NARAtiveプロジェクト

NARAtive（ならてぃぶ）プロジェクトは、奈良の魅力を世界に届けることを目的とした映画制作プロジェクトです。「NARA（奈良）」と「Narrative（物語）」を組み合わせた名称は、地域を舞台にした映画を通じて新たな物語を生み出すという意志を表しています。このプロジェクトには期待の若手映画監督が招かれ、奈良の地域住民や映画制作のプロたちが協力して作品を完成させます。毎年の金の鹿賞受賞者には制作権が授与され、参加者には地域を活性化させる原動力としての役割も期待されています。

ならシネマテーク

奈良市には映画館が1つもないという現状を受けて、なら国際映画祭実行委員会は移動映画上映会を定期的に開催しています。この上映会は主に月の第二金・土・日曜に行われ、地域の人々が映画を楽しむ場を提供。上映前後にはナビゲーターによる映画の解説や感想の共有が行われ、映画視聴をより豊かにする工夫がされています。

沿革

なら国際映画祭の歴史は、2008年のシンポジウムから始まり、2009年には映像文化交換イベントも実施されました。その後2010年に第1回の映画祭が開催され、2016年までに数回の開催を経て、現在に至ります。各回の映画祭は、しっかりとした観客動員数を記録しており、多種多様な国際的作品が参加しています。日本国内外から多くの優れた作品が集まるこの映画祭は、地域活性化や新たな才能の発掘に寄与し続けています。

今後もなら国際映画祭は、奈良の文化を世界に発信する重要なプラットフォームとして成長し、地域の映画界や文化活動に大きな影響を与えるイベントとして期待されています。

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