アメリカンアパレル

アメリカンアパレルとは

アメリカンアパレル（American Apparel）は、アメリカ合衆国を拠点とする衣料品メーカーでした。その特徴は、製品のデザインから製造、卸売、小売、広告、マーケティングまでを自社で一貫して行う垂直統合型のビジネスモデルを採用していた点にあります。特にTシャツや下着などの綿ニットウェアで知られていましたが、近年ではレギンス、レオタード、タンクトップ、ヴィンテージ衣料品、ドレス、デニム、マニキュア液、寝具、そして男性用、女性用、子供用、さらには犬用のアクセサリーにまで製品ラインナップを拡大していました。

創業と成長

1989年、カナダ人のダブ・チャーニーによって設立されたアメリカンアパレルは、当初、ダブが学生時代に行っていたシルクスクリーンの実験から始まりました。Tシャツ製造に精通していたダブは、アメリカのポップカルチャーに魅了され、アメリカンアパレルという社名でビジネスをスタートさせました。様々な試行錯誤を経て、1997年に拠点をロサンゼルスに移し、2000年には現在の工場を設立。卸売業として成長を遂げ、シルクスクリーンデザイナーやユニフォーム会社などへの販売を開始しました。その後、自社店舗での販売も開始し、3年間で440％という驚異的な成長を記録しました。2005年にはアメリカの急成長企業リストで308位にランクインし、その年の利益は2億1100万ドルに達しました。2007年にはEndeavor Acquisitionとの合併により株式会社化し、ダブ・チャーニーがCEO兼筆頭株主となりました。

「Made in the USA」と企業理念

アメリカンアパレルは、「Made in the USA」を掲げる数少ないアパレル企業の一つでした。2007年にはアメリカ国内で製造された衣料品を海外で約125億円も売り上げました。また、進歩的な政治改革を支持し、移民の権利や労働者改革を積極的に推進し、「sweatshop free（搾取工場からの脱却）」を企業理念として掲げていました。

経営の転換と終焉

しかし、2014年6月には創業者であるダブ・チャーニーがセクハラ問題により解雇され、2015年10月と2016年11月の二度にわたる破産申請を経て、最終的にブランドはライバルのギルダン・アクティブウェア社に売却されました。

ロサンゼルスの本社・工場

ロサンゼルスのダウンタウンに位置する80万平方フィートの広大な本社・工場は、アメリカンアパレルの象徴でした。ここでは、布地の染色からニット工程まで、全ての製造プロセスが行われていました。アメリカンアパレルは海外での製造を一切行わず、全ての製品をロサンゼルスで製造することにこだわっていました。また、従業員への高い賃金支払いを誇りとしており、チーム制を導入することで生産効率の向上を図っていました。本社と工場が一体化していることで、流行の変化に迅速に対応できる体制を整え、世界中の店舗に最新のデザインを届けることが可能でした。ニューヨークタイムスによると、この工場はアメリカ最大の衣料品工場であり、約4000人の労働者が働いていました。工場の建物には、「アメリカンアパレルは工業改革」というスローガンを掲げていました。

社風と雇用

アメリカンアパレルの特徴的な社風は、従業員を一つの場所に集めて製造するという点にありました。ダブ・チャーニーは履歴書だけでなく、創造性豊かな人材を雇用することを重視し、型破りな社風が会社の成長の原動力だと考えていました。

日本での展開

2005年9月には日本にも進出し、渋谷や代官山、アメ村などに店舗を展開しました。「アメアパ」の愛称で親しまれ、2012年には渋谷のレディース館が世界一の売上高を記録するなど人気を博しましたが、経営悪化により、2015年には渋谷メンズ館が閉店し、2016年には日本から撤退しました。

結論

アメリカンアパレルは、そのユニークなビジネスモデルと企業理念で一世を風靡しましたが、経営難によりその歴史に幕を閉じました。しかし、その斬新なデザインと「Made in the USA」へのこだわりは、多くの人々の記憶に残るでしょう。

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