アーマー

アーマー市：歴史と文化の交差する街

北アイルランド南部に位置するアーマー市は、アイルランド島を代表する歴史都市の一つです。紀元前600年頃のケルト人時代からその歴史は始まり、当時マーハ女王が治めていたこの地は、古代遺跡「エイン・マーハ」の存在からもその歴史の長さを物語っています。エイン・マーハは北アイルランドを代表する重要な遺跡であり、世界遺産登録を目指した取り組みも行われたほどです。アーマーという地名は、このマーハ女王に由来する「アード・マーハ」（マーハ女王の丘）から変化したと言われています。

445年には、聖パトリックがアーマーに教会を設立し、布教活動を行いました。聖パトリックはケルトの宗教観を改宗させるのではなく、キリスト教とケルトの宗教観を融合させるという柔軟な布教方法を用いたと言われています。このことから、アーマーはアイルランドにおけるキリスト教布教の重要な拠点として宗教的に重要な都市と認識されるようになりました。

1014年には、アイルランド統一に貢献したブライアン・ボルが、アーマーの聖パトリック大聖堂の墓地に埋葬されました。ブライアン・ボルは古代スカンジナビア人をアイルランドから追い払ったことで知られています。

近代史においては、1986年に発生したアイルランド共和軍による爆弾テロ事件も記憶に新しい出来事です。この事件は、アルスター警察の2人の警官の命を奪いました。

アーマー市の現状

現在、アーマー市の人口は約14,590人で、アイルランドでは中規模都市に分類されます。人口構成としては、15歳未満の人口が約25.1%、60歳以上の人口が約17.5%を占めています。宗教的にはカトリックが約68.3%、プロテスタントが約30.2%と、カトリック系住民が多いことがわかります。

教育都市アーマー

アーマーは5世紀から教育都市として知られています。聖パトリックが、アーマーで教育を受けた者だけが布教活動を行うことを規定したことがその始まりです。1608年に設立された王立学校は、アーマーの教育の中心を担い、長い歴史を誇ります。18世紀には、ロビンソン大司教の支援により大学の建設が計画されましたが、実現には時間を要し、1990年代になってベルファスト大学の出張所が開設されたことで、ようやく大学教育が受けられるようになりました。

交通事情

かつてアーマーには鉄道路線が通っていましたが、1957年には全線が廃止され、現在ではバス路線が中心となっています。アーマー駅は現在存在していません。

まとめ

アーマー市は、古代の歴史から現代社会まで、様々な出来事を経てきた歴史都市です。ケルト文化、キリスト教、そして近現代史における出来事など、多様な文化が交差するアーマー市は、訪れる人々に多くの歴史的・文化的発見をもたらしてくれるでしょう。人口規模は大きくありませんが、その歴史的意義、そして教育都市としての側面からも、アイルランドを語る上で欠かすことのできない重要な都市となっています。

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