イグナチオ

『イグナチオ』（Ignacio / Entends-Tu Les Chiens Aboyer?）は、著名な作曲家ヴァンゲリスによるアルバムで、1983年には日本で「奇蹟のランナー」として再発売されました。このアルバムには二つのパートが収められており、各パートの長さはそれぞれ21分32秒と18分29秒です。日本国内盤LPにおいては、アルバムは初めてリリースされた際にGP-700というカタログ番号が付けられました。

興味深いことに、アルバムはフランス・メキシコ合作映画「Entends-Tu Les Chiens Aboyer?」のサウンドトラックとして制作されたもので、映画の題名は時を経てCDのタイトルにもなっています。映画はフランソワ・レシャンバックによって監督されており、その音楽は映画の情感を引き立てる重要な役割を果たしています。また、CD版に関しては、初期の欧州版では総再生時間が誤って記載されているというエピソードもあります。

さらに、日本では1979年にキングレコードがフランスのエッグ・レコードの作品をリリースした際に本作が第1弾として登場し、続いて1983年にはポリドールが関与した再発売が行われました。この時期、アルバムは他の有名な作品《天国と地獄》とほぼ同時に制作され、特にパート1の中間部分ではその音楽的影響が色濃く反映されています。

アルバムは主にインストゥルメンタルですが、パート2の終盤には旋律があり、これが後にミルバによって歌として取り上げられ、別のアルバムに収録されました。この曲はドイツ語で歌われ、タイトルは「信じて欲しい」（Freunde, die gar keine sind）で、1981年にリリースされたドイツ盤に収録されています。特に、ドイツ盤CDや日本版LPのジャケットではタイトルに誤りがあり、最終的な歌詞部分では正確に表記されています。このように、『イグナチオ』は音楽的な魅力だけでなく、制作過程や関連作品とのつながりにおいても色々なエピソードを秘めたアルバムとなっています。1993年に亡くなったレシャンバックを含め、ヴァンゲリスとその共同作業者たちの遺した業績は、今なお多くの音楽ファンの心に残ります。

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