インターカム

インターカムとは

インターカムとは、業務中のスタッフや関係者が迅速なコミュニケーションを行うために使用される構内通話システムのことです。日本では「インターコミュニケーション」の略称として広まっており、業界内では「インカム」という呼称も一般的です。近年では、トランシーバーとヘッドセットを組み合わせたタイプの通信手段が「インカム」として認識されていますが、本来は「ヘッドセット付きトランシーバー」であり、厳密にはインカムとは異なる仕様です。

インターカムの特徴

インターカムは、業務を遂行する上で必要な様々な機能を持ち合わせています。例えば、ヘッドセット（多くの場合、アシダ音響製HRM-8B2やHRM-808など）を利用することで、手を使わずに複数のユーザーが同時に双方向の通信を行うことが可能です。エコー除去機能やハウリング防止機能が搭載されているため、快適な通話が可能です。

主な機能

• - 2者通話、呼び出し機能、着信選択、自動転送、代理応答、緊急割り込み、ページング呼び出しおよび応答など様々な機能があります。
• - 通信端末は、ベルトパック型、デスクトップ型、ラックマウント型といった形で提供されています。

インターカムが用いられる理由

インターカムは、特に放送局や劇場、イベント会場での使用に適しています。なぜなら、即座に意思を伝えることができ、円滑にプログラムを進行させるための迅速な意思疎通が必要だからです。従来のダイヤル操作や呼び出しを必要とせず、すぐに情報を共有できます。これにより、制作の意図を全員に伝えることが容易になります。特に、ベテランの通話を聴くことで新人はスキルアップすることができるため、教育的効果も期待できます。

ハンズフリー通話

多くの場合、TVカメラマンや照明担当者は作業中に両手が使えない状況にありますが、インターカムシステムではハンズフリーでの通話が可能です。この機能は、作業の効率を大幅に向上させます。

マトリックス方式

4ワイヤーインターカムでは、複雑なグループ設定や系統化が可能です。また、通信の優先順位を設定できるため、大規模な現場でも対応が可能です。

パケットインターカムシステム

このシステムは、VoIP（Voice over Internet Protocol）技術を利用し、無線LANやIPネットワークを介して複数の拠点での相互通信を実現します。特に2010年代以降、チェーンストアなどで本部からの一斉指令に使用され始めるようになりました。

インターカムの種類

4ワイヤーインターカム

4ワイヤーインターカムは、音声通信の送りと戻りを分けた方式です。高品質な音声通信が可能ですが、設備費用が高くなります。また、音声信号はアナログ形式で送受信され、デジタル化されていないため、遅延が少なく、リアルタイムのコミュニケーションに適しています。

2ワイヤーインターカム

2ワイヤーインターカムは、共通の2本の導体を用いて同時送受信を行います。電話のパーティーラインのように、多人数の通話が可能ですが、自分の声が強く聞こえてしまうため、サイドトーン調整が必要です。調整を適切に行うことで、通話の品質が向上します。

無線インターカム

ナローバンド無線を使用したシステムであり、特にリアルタイム性が求められる放送局や劇場などでの利用が多いです。デジタル変調機能を持つものもあり、一般業務用で使用されています。

まとめ

インターカムは、業務上の意思疎通を円滑にし、効率を高める重要な通信手段です。構内での迅速な指令伝達が実現できるため、その利用が広がっています。また、音声信号の品質や通信方式のバリエーションが豊富で、用途に応じて選択できるため、多くの現場で重宝されています。

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