エレベーターガール

エレベーターガールの魅力と歴史

エレベーターガールは、特定の百貨店や観光名所のエレベーターで活躍し、運転や案内を行う女性を指します。この職業は「エレガ」や「EG」などの略称でも知られ、男性の場合は「エレベーターボーイ」と呼ばれています。しかし、女性の存在が長く目立ってきたこの職業についての理解は、過去から現在にかけて変化しています。

日本におけるエレベーターガールの起源

日本で初めてエレベーターガールが登場したのは、1929年3月に松坂屋上野店のエレベーターです。この当時、エレベーターの運転は手動方式であり、1300人以上がエレベーター運転手として登録されていました。エレベーターガールは女性の憧れの職業であり、当初は「昇降機ガール」と呼ばれていました。彼女たちは専用の制服を着用し、上品で優雅な存在感を放っていたのです。

昭和のエレベーターガールのスタイル

昭和の時代、エレベーターガールたちは独自の制服を着用し、つば付きのフェルト帽に鮮やかな色合いのスーツ、そして白手袋が彼女たちのトレードマークでした。服装の色合いは落ち着きがありつつも、帽子のリボンやスカーフなどで華やかさが加わっていました。このスタイルは、当時の女性の社会進出を象徴するものであり、スチュワーデスやバス添乗員の制服とも共通点がありました。

エレベーターガールの役割

エレベーターガールの具体的な業務内容を見てみましょう。百貨店のエレベーターを利用する場合、彼女たちは乗場ドアが開くと、乗客に昇降方向を案内します。たとえば、「上にまいります」といった言葉を使います。乗降が完了するまでドアを開けたままにし、全ての乗客が乗り終えるのを確認してからドアを閉めます。また、乗降時に困難な客がいた場合には手助けを行い、混雑した際には間隔を詰めるよう促すことも大切な仕事です。

彼女たちは、客の行き先階を聞き取り、適切に停止させる役割も持っています。もし自動運転の場合にはボタンを押し、手動式の場合は階を記憶して操作するのです。乗場ドアが開く直前には、スムーズに停車地点を案内する姿も見せます。さらに、エレベーターが群管理されていない時代には、乗降客のいない期間は特定の階で待機し、呼び出しがあった際には急いで向かう必要がありました。

現在のエレベーターガール

バブル崩壊後、日本の百貨店業界は厳しい不況に直面し、エレベーターの普及によりエレベーターガールの必要性は減少しました。1990年代末には多くの店舗でエレベーターガールが廃止され、発祥地とされる松坂屋上野店も2006年以降、常駐しなくなりました。ただし、日本橋髙島屋には今でもエレベーターガールがいるのは、手動運転のエレベーターが残っているためです。さらに、紀伊國屋書店新宿本店にもエレベーターガールが配置されています。

終わりに

エレベーターガールは、その華やかな外見と役割から長い歴史を持つ職業です。今では珍しい存在となりつつありますが、彼女たちがもたらした「おもてなし」の文化や、昭和のノスタルジーは、多くの人々に愛され続けています。エレベーターガールの仕事はただのサービスではなく、心を込めたおもてなしとして、今もなお人々の記憶に残り続けているのです。

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