カコ

原田知世のカバー・ミニアルバム『カコ』は、1994年2月18日にFOR LIFEからリリースされました。この作品は、彼女にとって初のカバーアルバムであり、新たな音楽的挑戦を示すものとして注目されました。

概要

アルバムの帯コピーには「アンティミストなヴォーカルで贈る入魂の選曲カヴァーアルバム。60年から70年にかけての世界の佳曲をいまここに再現。」とあり、そのコンセプトが明確に示されています。

『カコ』は、アルバム『GARDEN』に続く、ムーンライダーズの鈴木慶一によるプロデュース作品3部作の第2作にあたります。鈴木慶一は、原田知世の音楽性を深く理解し、彼女の魅力を最大限に引き出すプロデュースワークで知られています。本作では、フランスやイギリスのポップスを中心に、全7曲のカバーが収録されています。特筆すべきは、これらの楽曲があえて日本語詞を付けずに、原曲の歌詞のまま歌われている点です。これにより、原曲の持つ雰囲気やニュアンスがそのままに、原田知世の透明感のある歌声で表現されています。

1987年7月にシングルとしてリリースされた「彼と彼女のソネット」のフランス語ヴァージョンである「T'EN VA PAS」は、同年7月にシングルカットされ、フジテレビ系列の深夜番組『文學ト云フ事』のエンディングテーマとして使用されました。この楽曲は、原田知世のフランス語による歌唱が、新たな魅力を引き出しているとして評価されました。

背景

アルバムタイトル『カコ』は、原田知世が新幹線に乗車中に読んでいた雑誌に掲載されていた、写真家の植田正治が鳥取砂丘で少女を撮影した作品「カコ」に感銘を受けたことがきっかけで名付けられました。この写真の持つノスタルジックな雰囲気と、アルバムのコンセプトである1960年代の音楽を中心とした洋楽カバーという「過去」のテーマが合致したことから、アルバムタイトルとして採用されました。原田知世は、「あるキーワードからアルバム作りを始めてみようかと思った」と当時を振り返っています。ちなみに、本作のジャケットに写っている少女は、植田正治の愛娘であるカコ自身です。

批評

音楽情報サイトCDジャーナルのレビューでは、「鈴木慶一氏入魂のプロデュースによる ”ともよ3部作” の第2弾。一口で言うと生楽器を中心にした60年代の隠れた(?)名曲カヴァーだが、随所にエグいアイデアが。凡百の ”アンプラグド” ものとは全然別モノ。」と評されています。このレビューからも、単なる懐古趣味に終わらない、鈴木慶一の独創的なアレンジと、原田知世の表現力が融合した作品であることが伺えます。

『カコ』は、原田知世の新たな一面を垣間見ることができる、貴重なカバーアルバムとして、今も多くの音楽ファンに愛されています。

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