カットスロート・アイランド

カットスロート・アイランド

『カットスロート・アイランド』（原題：Cutthroat Island）は、1995年にアメリカで製作された海賊をテーマにした冒険映画である。

ストーリー

物語は、女海賊モーガン・アダムズが、かつて父ハリーが船長を務めていた海賊船モーニング・スター号の船上で起こった悲劇から始まる。モーガンの叔父にあたるドーグが、父ハリーを裏切り、宝の地図の引き渡しを迫ったのだ。要求を拒んだハリーは、ドーグによって致命傷を負わされる。瀕死の父は、モーガンに自らの頭の皮を剥ぐよう指示する。そこには、宝の地図の一部が隠されていたのである。

父の死後、モーガンはモーニング・スター号の新たな船長となり、父の仇であるドーグを討ち、地図が示す宝を手に入れることを決意する。地図に記されたラテン語の解読が必要となったモーガンは、奴隷市場でウィリアム・ショーという名の男を買い取る。彼は医師を自称するコソ泥だが、ラテン語に通じていた。しかし、モーガンが手に入れた地図は、全部で3枚あるうちの1枚に過ぎなかった。残りの2枚のうち、1枚はモーガンの叔父であるモデカイが、そしてもう1枚は父を裏切ったドーグが所持していた。

宝を狙うのは、モーガンとその一味だけではなかった。地図の1枚を持つドーグに加え、州知事のエインズリーもまた宝を虎視眈々と狙っていた。モーガンは、道中で部下のスカリーによる裏切りに遭うなどの困難に見舞われるが、ウィリアム・ショーらの助けを得て、ドーグやエインズリー知事といったライバルたちとの激しい争いを繰り広げながら、伝説の宝が眠るとされる島、カットスロート・アイランドを目指す。

主要な登場人物

モーガン・アダムズ

主人公。父ハリーの後を継ぎ、モーニング・スター号の船長となった女海賊。父の仇討ちと宝探しに燃える。

ハリー・アダムズ

モーガンの父。海賊船モーニング・スター号の元船長で、宝の地図の一部を娘に託す。

ドーグ

モーガンの叔父。海賊船死神号の船長であり、ハリーを死に追いやった人物。宝の地図の一部を所有し、モーガンの最大の敵となる。

ウィリアム・ショー

医師を自称するコソ泥。ラテン語の知識を買われてモーガンに助け出され、彼女の冒険に同行する。

モーデカイ・フィンガーズ

モーガンのもう一人の叔父。宝の地図の一部を所持している。

エインズリー

州知事。権力者だが、海賊たちが追う宝を自らの手に収めようと画策する。

製作・スタッフ

監督：レニー・ハーリン
製作総指揮：マリオ・カサール
製作：ローレンス・マーク、ジョエル・B・マイケルズ、ジェームズ・ゴーマン
脚本：ロバート・キング、マーク・ノーマン
* 音楽：ジョン・デブニー

本作はレニー・ハーリンが監督を務め、カロルコ・ピクチャーズが製作した大作として企画された。

評価と影響

本作は、製作費および宣伝費を合わせて1億ドル以上が投じられたとされているが、公開後の全世界興行収入はわずか1割強の約1800万ドルにとどまり、記録的な大失敗となった。「ショーガール」と共に、製作会社カロルコ・ピクチャーズの倒産を招いた遠因の一つとされ、その壊滅的な興行成績は、当時のギネス世界記録において「最も興行赤字を出した映画」として認定された。この記録は2022年時点においても破られていない。

エピソード

ウィリアム・ショー役のキャスティングに関しては、多くの俳優がオファーを辞退したという逸話が残っている。トム・クルーズやキアヌ・リーブスを含む10人以上の俳優に声がかかったものの出演に至らず、最終的にマシュー・モディーンが演じることになった。

賞歴

第16回ゴールデンラズベリー賞において、レニー・ハーリンが最低監督賞にノミネートされている。

この映画は、その壮大な製作規模と対照的な興行的失敗から、映画史においてしばしば「ボックスオフィス・ボム（大失敗作）」の代表例として語り継がれている。

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