カンカン帽

カンカン帽とは

カンカン帽は、麦わら帽子の一種で、英語では「ボーター（Boater）」、フランス語では「キャノチエ（Canotier）」と呼ばれています。その名の通り、硬く成形された麦わら帽子で、叩くと「カンカン」と音がするのが特徴です。

起源と特徴

カンカン帽は、水兵や船の漕ぎ手のために作られた男性用の帽子が発祥とされています。海や川の水しぶきで帽子が柔らかくなって損傷するのを防ぐため、麦藁を平たくつぶして真田紐のように編んだ麦稈真田（ばっかんさなだ）などの素材をプレスで固く成型します。その後、ニスや糊などで塗り固めることで、軽くて耐久性のある帽子が作られます。

天井とブリム（つば）が平らなのが特徴で、クラウン（帽子の山の部分）は円筒形をしています。多くの場合、ハットバンド（リボン状の帯）がついており、黒が正式な色とされています。類似する帽子としては、パナマハットがあります。

日本での流行

日本では、明治の末から男性の間で流行し始め、大正時代に入ると洋装・和装を問わず、カンカン帽をかぶるスタイルが大流行しました。この流行は昭和初期まで続きました。叩くと「カンカン」と音がするほど固い帽子であることから、カンカン帽という俗称が定着しました。

当時は、「紳士たるもの外出時には帽子を着用するものだ」というのが常識であり、成人男性の帽子着用率は非常に高く、特にカンカン帽の人気は高かったようです。職場においても、夏場の正装として受け入れられていました。

昭和初期ごろには、50銭から2円程度で販売されており、安いものは太くて黄色い麦わら製、高いものは細くて真っ白な麦わらが細かく硬く編んでありました。値段によって品質が明確に異なり、一目で値段がわかるほどでした。また、カンカン帽は基本的にひと夏で使い捨てるものだったようです。

カンカン帽の構造

カンカン帽は、その硬さと耐久性を保つために特別な製法で作られています。麦わらを平たくつぶして編み上げた麦稈真田を型にはめてプレスし、さらにニスや糊で固めることで、独特の形状と強度を実現しています。これにより、水に強く型崩れしにくいという特徴を備えています。

カンカン帽とファッション

カンカン帽は、そのクラシックなスタイルから、現在でもファッションアイテムとして愛されています。特に夏場のカジュアルな装いに合わせやすく、男女問わず人気があります。また、レトロな雰囲気を持つため、コスプレや舞台衣装としても活用されることがあります。

カンカン帽のお手入れ

カンカン帽は麦わら素材でできているため、水濡れに注意が必要です。もし濡れてしまった場合は、形を整えて陰干ししてください。また、長期間使用しない場合は、型崩れを防ぐために箱などに入れて保管することをおすすめします。

カンカン帽の現代での活用

現在では、普段使いのファッションアイテムとしてだけでなく、夏祭りやイベントなどでも見かけることがあります。そのユニークなデザインと、夏らしい素材感から、季節感を取り入れたコーディネートを楽しむことができます。

まとめ

カンカン帽は、その歴史と独特のデザインから、多くの人に愛されてきました。もともとは実用的な帽子として誕生しましたが、ファッションアイテムとしても長く親しまれており、これからも様々なシーンで活用されることでしょう。

関連項目

パナマ帽
麦わら帽子
* 月亭可朝

もう一度検索