クリスティーズ

クリスティーズ（Christie's）について

クリスティーズは1766年に創業された、世界的に有名なオークションハウスです。本拠地はロンドンにあり、特に美術品や希少なコレクションの競売において名高い存在となっています。創設者は美術商のジェームズ・クリスティーで、彼はロンドンでの美術品取引を発展させることに尽力しました。

創立と発展

クリスティーズの設立は、フランス革命後のロンドンが国際的な美術品交易の中心地となる潮流に乗り、急速に名声を高めることになりました。設立当初から、クリスティーズは高級な美術品を取り扱うオークションハウスとして知られるようになり、その後も成長を続けました。特に、ロンドン証券取引所に上場していた時期（1973年から1999年）には、企業の透明性と影響力が高まりました。1999年にはフランソワ・アンリ・ピノーが所有する投資会社に買収されましたが、クリスティーズは依然として業界のリーダーであり続けています。

世界展開と競売場

クリスティーズの主要なオークション場は1823年からロンドンのセント・ジェームズ地区に位置し、1975年にはサウス・ケンジントンに2番目の競売場も開設しました。サウス・ケンジントン競売場は初期にはケジュアルなアイテムから専門的な品々まで多彩な収集品を扱っていましたが、今では世界で最も活発な競売場の一つとして知られています。また、ニューヨーク、パリ、香港など、各地にもオークションハウスを展開しています。

著名なオークション

クリスティーズは、著名なアーティストや歴史的人物に関連する作品を数多く競売にかけてきました。特に、パブロ・ピカソ、レンブラント、レオナルド・ダ・ヴィンチなどの名作はクリスティーズを通じて落札されています。1998年にはアルキメデスのパリンプセストが落札された歴史的な出来事もありました。また、2006年には『スタートレック』に関連するアイテムが競売にかけられ、話題を呼びました。2011年には日本の古美術に関するオークションでも大きな注目を集めるなど、国際的なプレゼンスを誇っています。

日本美術と取引

クリスティーズは日本の美術作品に対しても特別な関心を持ち、関連するオークションを実施してきました。2008年に伝運慶の作品が最高額で落札されたほか、藤田美術館からの出品など、重要な取引も行われています。特に2017年には東洋美術における史上最高額で落札されたことが記憶に新しいです。また、クリスティーズはプライベートセールを通じて重要な作品の取引を行うなど、幅広いネットワークを確立しています。

価格操作騒動

2000年には、クリスティーズとサザビーズとの間で価格操作の疑惑が浮上しました。その結果、両社の幹部が共謀していたことが明らかになり、クリスティーズは法的な問題を乗り越えることができました。この一件はオークション業界全体に大きな影響を与えることとなり、その後の信頼回復に向けた取り組みが進められました。

教育事業と新しい取り組み

クリスティーズはオークション業界で唯一、大学院レベルの教育を直接提供する機関も運営しています。クリスティーズ・エデュケーションでは、美術に対する熱い思いを持つ人々に向けた多様なコースを開設しており、多くの専門家や学芸員を巣立たせてきました。また、2022年にはNFTプラットフォーム「Christie’s 3.0」を立ち上げるなど、デジタルアートの領域にも積極的に参入しています。

エピソード

クリスティーズ・ニューヨークにある競売場の看板は、映画『恋愛適齢期』の撮影時に特別に設置されたもので、その後も残ることとなりました。このように、クリスティーズは文化的な側面でも注目を集めており、オークションハウスとしての枠を超えた存在となっています。

クリスティーズは今日も引き続き、世界中のアートコレクターや愛好家に向けて未踏の領域に挑戦し続けています。

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