グレイシー・エイブラムス

1999年 9月7日にカリフォルニア州パシフィック・パリセイズで生まれたグレイシー・エイブラムスは、アメリカ合衆国のシンガーソングライターです。著名な映画監督であるJ・J・エイブラムスを父に、そして映画・テレビプロデューサーのケイティ・マクグラスを母に持ち、幼い頃から音楽への強い関心を抱いていました。8歳という若さで作曲を始め、その才能を育んでいきます。高校卒業後、コロンビア大学傘下のバーナード・カレッジに進学しますが、音楽活動への情熱から1年で中退し、アーティストとしての道を本格的に歩み始めます。

彼女のキャリアは2019年、インタースコープ・レコードとの契約から始まりました。同年10月にリリースされたシングル「Mean It」で正式にデビュー。その後、2020年にはプロデューサーにジョエル・リトルらを迎えた初のEP『Minor』を発表し、自身の世界観を確立していきます。2021年にはベニー・ブランコとのコラボレーション楽曲「Unlearn」やシングル「Mess It Up」をリリースするなど、精力的に活動を展開。同年11月には、ザ・ナショナルのアーロン・デスナーがプロデュースした楽曲を含むセカンドEP『This Is What It Feels Like』を発表し、このEPを携えて2022年から2023年にかけて大規模なツアー「This Is What It Feels Like Tour」を成功させました。この期間には、オリヴィア・ロドリゴの「Sour Tour」のオープニングアクトも務め、幅広い層のリスナーにその存在を知らしめました。

2023年2月、待望のデビューアルバム『Good Riddance』をリリース。同年6月にはデラックス版も追加リリースされました。この年、彼女のキャリアにおける重要な転換期となります。世界的なスーパースター、テイラー・スウィフトの巨大ツアー「The Eras Tour」にオープニングアクトとして参加し、その圧倒的なスケールの舞台でパフォーマンスを披露。自身の「Good Riddance Tour」も同時進行するなど、精力的なライブ活動を行いました。これらの活躍が評価され、2024年には第66回グラミー賞において「最優秀新人賞」にノミネートされる栄誉を得ました。また、2023年にはForbes誌の「30 Under 30」にも選出され、次世代を担うアーティストとしての地位を確固たるものとしました。

2024年も彼女の勢いは止まりません。4月にはセカンドアルバム『The Secret of Us』のリリースを発表し、6月に発売。このアルバムは全米ビルボード200チャートで初登場2位を記録する快挙を成し遂げました。特に、同年11月に先行リリースされたシングル「That's So True」は、オーストラリア、カナダ、イギリスなどでチャート首位を獲得し、Billboard Global 200で4位、US Billboard Hot 100で6位にランクインするなど、自身最大のヒット曲となりました。このアルバムには、テイラー・スウィフトとのコラボレーション楽曲「us.」も収録されており、この曲は2025年の第67回グラミー賞で「最優秀ポップ・デュオ／グループ・パフォーマンス」部門にノミネートされました。この「us.」は、2025年2月より配信開始されたNetflixリアリティシリーズ「オフラインラブ」の主題歌に起用され、番組配信前後で日本国内のストリーミング数が飛躍的に増加しました。

日本における活動も本格化しています。2025年3月には、日本独自企画盤となる『The Secret of Us (Deluxe) Japan Edition』をリリース。ピンクのジャケット仕様で、歌詞・対訳が封入されたこの限定盤は、本国デラックス盤に加えてさらに日本盤のみのボーナストラックを含む充実した内容です。そして2025年4月には、初の来日公演「The Secret of Us Tour」をZepp Hanedaで開催。2024年12月に発売されたチケットは、第一次先行の段階で既に完売となるなど、日本でも高い人気を証明しました。

音楽活動に加え、2025年1月には南カリフォルニアの山火事被災地支援チャリティコンサート「FireAid」に出演するなど、社会貢献活動にも積極的に参加しています。さらに、ソングライターとしての才能も高く評価され、2025年にはソングライターの殿堂が選出する若手ソングライターの功績を称える「ハル・デヴィッド・スターライト賞」を受賞しました。

類まれなソングライティング能力と共感を呼ぶ歌声で、Z世代を代表するアーティストとして世界的に注目を集めるグレイシー・エイブラムス。今後のさらなる活躍が期待されています。

ディスコグラフィ（主要作品）

スタジオ・アルバム
Good Riddance (2023)
The Secret of Us (2024)
The Secret of Us (Deluxe) (2024)
The Secret of Us (Deluxe) Japan Edition (2025)

EP
Minor (2020)
This Is What It Feels Like (2021)

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