サーロー節子

サーロー節子の人生と業績

サーロー節子（サーロー せつこ、英語: Setsuko Thurlow）は、1932年1月3日に広島県広島市南区で生まれた被爆者であり、現在はカナダのトロントに住む反核運動家です。彼女は、日本における原子爆弾投下の悲劇を目の当たりにし、その経験をもとに核兵器廃絶を訴える活動を行っています。

幼少期と被爆体験

節子は、父がドイツ人共同経営者とともにアメリカのカリフォルニア州で果実業を営む家庭に生まれ、広島女学院（現・広島女学院中学校・高等学校）に進学します。進学後、彼女は学徒勤労動員として大日本帝国陸軍の暗号解読部隊で訓練を受けました。1945年8月6日、正規の暗号解読助手として初めての勤務の日に原子爆弾が広島に投下されました。彼女は爆心地から1.8kmの距離にいたため、建物の倒壊により近くで被爆し、九死に一生を得るものの、同じ日には8人の親族と多くの同窓生を失いました。この体験が、彼女の人生における核兵器廃絶への強い思いを生む要因となりました。

海外への移住と活動

その後、広島女学院大学を卒業し、1954年にアメリカに留学。リンチバーグ大学で社会学を学んだ後、1955年にワシントンD.C.でカナダ出身の英語教師と結婚します。夫婦はその後トロントに移住し、節子はトロント大学で社会福祉事業の修士号を取得してソーシャルワーカーとしての道を歩みました。

彼女は、友人と共に広島・長崎に関連する被爆写真の展示会を行い、核の危険性について多くの人々に訴えました。また、被爆体験を語ることで、核兵器の廃絶を求める活動を続けています。特に、核兵器禁止条約採択の際、数多くの国の代表が彼女の演説に心を動かされたと言われ、彼女の発言は国際的な核廃絶運動に大きな影響を与えました。

ノーベル平和賞

2017年12月、節子は核兵器廃絶国際キャンペーン（ICAN）の一員として、ノーベル平和賞授賞式に出席しました。彼女は、授賞式でICANの事務局長と共にメダルと証明書を受け取り、自らの経験を元に受賞講演を行い、多くの聴衆の心に刻まれました。また、2019年にはトロント大学から名誉博士号を授与されるなど、彼女の活動は高く評価されています。

親族と著作

節子の姉の息子には著名な俳優であるジョージ・タケイがいます。また、彼女は日本の政治家岸田文雄の遠縁にあたることも知られています。著作としては、サーロー節子と金崎由美が共著した『光に向かって這っていけ 核なき世界を追い求めて』があり、彼女の核廃絶に向けた思いや考えが表現されています。

映画

に関しても、彼女のストーリーを元にした映画「ヒロシマへの誓い サーロー節子とともに」が制作されており、彼女の軌跡やメッセージが映し出されています。対話と理解を促進する彼女のこれまでの活動は、多くの人々に影響を与え、今後の核廃絶への希望を象徴しています。

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