シネストロ・コァ・ウォー

シネストロ・コア・ウォー：恐怖と意志の激突

2007年、DCコミックスは、ジェフ・ジョーンズとデイヴ・ギボンズの原作、アイヴァン・ライス、パトリック・グリーソン、イーサン・ヴァン・スカイヴァーらの作画による壮大なクロスオーバーイベント『シネストロ・コア・ウォー』を発表しました。グリーンランタン誌とグリーンランタン・コア誌を中心に全11話、さらに関連作品として4編の短編と他誌とのタイインも展開されました。日本語版も2018年に刊行され、多くのファンを魅了しました。

物語：宇宙規模の戦いと感情のスペクトラム

物語は、反物質宇宙から帰還したシネストロが、恐怖を操るイエロー・パワーリングを武器にシネストロ・コアを結成するところから始まります。シネストロ・コアには、パララックスやアンチモニターといった強力な敵も加勢し、グリーンランタン・コアを相手に宇宙規模の戦いを繰り広げます。

グリーンランタン・コアの本拠地であるオア惑星が襲撃され、スーパーマン・プライムとサイボーグ・スーパーマンが解放されます。カイル・レイナーは捕らえられ、パララックスに憑依させられます。ハル・ジョーダン、ジョン・スチュワート、ガイ・ガードナーらグリーンランタンたちはレイナー救出に向かうものの、クワードへと転送されます。苦闘の末、彼らはアンチモニターと遭遇し、その存在をジャスティス・リーグへ知らせます。

一方、グリーンランタン・コアは各地でシネストロ・コアの攻撃を受けます。ガーディアンズは聖なる書物「オアの書」を改訂し、シネストロ・コアへの致死力の行使を認めるなど、苦境を乗り越えるため新たな対応策を打ち出します。

地球では、グリーンランタンとシネストロ・コアの激戦が繰り広げられます。パララックスはレイナーから分離され、封印されます。ガーディアンズの一人はスーパーマン・プライムを別の次元へ追放しますが、この戦いで440人を超えるグリーンランタンが命を落としました。

この激戦の中、希望を表す青いパワーリングを持つコアが誕生する伏線が張られ、『ブラッケスト・ナイト』へと続く物語が展開していきます。

登場人物：個性豊かなヒーローとヴィラン

グリーンランタン・コア：

ハル・ジョーダン：かつては最高のグリーンランタンと呼ばれ、パララックスに憑依された過去を持つ。
カイル・レイナー：イオンと融合し、強力な力を持つ。
ガイ・ガードナー：ジョーダンとはライバル関係にある。
ジョン・スチュワート：冷静沈着な建築家。
キロウッグ：ベテランのグリーンランタン、厳しい訓練教官。
モゴ：自我を持つ惑星型のグリーンランタン。
ソダム・ヤット：新人ながら高い実力を持つ。

シネストロ・コア：

サール・シネストロ：かつてのグリーンランタン、復讐を誓う。
アンチモニター：反物質宇宙の支配者。
パララックス：恐怖の化身。
サイボーグ・スーパーマン：機械の体に意識を移した存在。
スーパーマン・プライム：別の次元から来たスーパーマン。

制作と刊行：裏側と評価

『シネストロ・コア・ウォー』は、1986年のアラン・ムーアの短編「タイガース」から着想を得ています。「漆黒の夜」の予言や、ソダム・ヤットなど、多くの要素が本作に受け継がれています。

制作は2006年9月に開始。当初は刊行形式が何度も変更され、最終的には『グリーンランタン』誌と『グリーンランタン・コア』誌で交互に掲載される形となりました。

本作は、批評家やファンから非常に高い評価を受けました。高い売上を記録し、多くの号が増刷されました。IGNでは「スマッシュヒット」と評され、Newsaramaでは「DCの今年の超大作」と絶賛されました。

変化と遺産：コミック界に与えた影響

本作は、「ワン・イヤー・レイター」企画の後を受けた作品で、多くのキャラクターの運命や設定に変化を与えました。シネストロは、より悪辣な存在へと変貌し、グリーンランタンの敵であるスーパーボーイ・プライムやサイボーグ・スーパーマンは、シネストロ・コアに加わりました。

また、感情スペクトラムの設定が導入され、七つのコアの存在が明らかになり、後の『ブラッケスト・ナイト』へと繋がる伏線が仕掛けられました。

『シネストロ・コア・ウォー』は、そのスケールの大きさ、ストーリーの緻密さ、そしてキャラクターたちの魅力で、DCコミックスの歴史に大きな足跡を残した作品と言えるでしょう。

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